これまで何度も映像化されているジェーン・オースティンの小説『高慢と偏見』。
なんと6本の映画が制作されており、本作は現時点で一番新しい作品となります。
互いに惹かれあいながらも、なかなか本心を素直に伝えることのできない、不器用な主人公たちに共感する作品となっています。
彼女の小説が原作の映画はいくつかありますが、その中でも本作『プライドと偏見』が一番好きです。
終盤にジェーン・オースティンに関する他の作品もまとめているので参考にしてみてください。
Overview –概要–
原 題 :Pride & Prejudice
製作年 :2005年
製作国 :イギリス、フランス、アメリカ
ジャンル:ラブロマンス、ヒューマンドラマ
上映時間:2時間7分
監 督 :ジョー・ライト
原 作 :ジェーン・オースティンの小説『高慢と偏見』
あらすじ
18世紀末のイギリスの田舎町。5人娘を持つ貧乏貴族ベネット家の母親は、近所に引っ越してきた裕福な独身男性ピングリーと娘を結婚させようと躍起になる。舞踏会で長女ジェーンがその男性に見初められる一方で、次女エリザベスはさらに資産家のダーシーと出会うが、彼は高慢だという印象を持ち・・・。
Pride & Prejudice Movie | Official Website | Focus Features
登場人物・キャスト
- エリザベス – キーラ・ナイトレイ:ベネット家の次女で主人公。知性はあるが勝気で喜怒哀楽がはっきりしている。
- ダーシー – マシュー・マクファディン:ビングリーの友人で彼より資産家。気難しさと高慢さで誤解されがちだが、非常に誠実。
- ジェーン – ロザムンド・パイク:ベネット家の長女。温和な人柄の良い美女で、純粋な心の持ち主。
- ビングリー – サイモン・ウッズ:ベネット家の近所に越してきた独身の資産家。誠実で優しい好青年。
- キャロライン – ケリー・ライリー:ピングリーの妹。兄より高慢で、無作法なベネット家を快く思っていない。
- ベネット氏 – ドナルド・サザーランド:5人娘の父。高い見識を持つがのんびりしていて娘たちの結婚問題にも焦りはなし。
- ベネット夫人 – ブレンダ・ブレッシン:5人娘の母。ヒステリックで娘たちの将来を心配し、娘の玉の輿に躍起になっている。
- メアリー – タルラ・ライリー:三女で姉妹の中で一番地味。器量の悪さを補うために教養を詰め込むことに必死になっている。
- キティ – キャリー・マリガン:四女で比較的華やかな見た目をしているが、リディアにつられて分別のない行動に出る。
- リディア – ジェナ・マローン:五女で天真爛漫な故に分別のない行動をとり、大問題を引き起こす。
- ウィッカム – ルパート・フレンド:弁舌爽やかな色男の将校。本当は性悪でダーシーと浅からぬ因縁がある。
- コリンズ氏 – トム・ホランダー:ベネット家親族の牧師で遺産相続人。堅苦しく空気が読めない間の悪い男。
- シャーロット – クローディ・ブレイクリー:エリザベスの友人で常識的な女性だが、20代後半で独身なことに焦っている。
- キャサリン夫人 – ジュディ・デンチ:ダーシーの叔母でコリンズの後見人。莫大な財産を所有し、ダーシーを娘の許嫁と決めている。
画像引用元:Into Film
※写真は、左からベネット夫人、長女ジェーン、四女キティ、三女メアリー、次女エリザベス、五女リディアです。
Opinion –個人的な感想–
主人公はエリザベスと、お相手となるダーシーなのですが、次いで長女ジェーンとピングリーの恋模様も描かれています。
その他の人物は脇役ではあるけれど、それぞれ個性とちょっとしたストーリーがあるので、あわせて紹介したいと思います。
高慢カップル:エリザベスとダーシー
何といってもダーシーの不器用さが可愛く、本作一番の魅力ではないでしょうか。
ダーシーは「美女と野獣」の野獣みたいなキャラですね。
タイトルにある通り、「高慢」なダーシーを「偏見」してしまうエリザベス。
金髪好青年のピングリーと比べると、余計気難しく印象が悪くなってしまうダーシーは、序盤からエリザベスに惹かれているのですが、不器用で上手くアプローチできません。
さりげなく手に触れて内心喜んでいそうなシーンは特に可愛かったです笑。
思い切ってエリザベスに告白するも、彼を誤解し印象最悪なタイミングだったため、撃沈。。
将校ウィッカムが彼のせいで出世できなかったとか、姉ジェーンとピングリーの仲を引き裂いたのがダーシーとわかって激怒してしまうエリザベスでした。
しかし本当は、性悪だったのはウィッカムの方で、金目当てでダーシーの可愛い妹と駆け落ちしようとしたのです。
姉の恋路を邪魔したのも、金目当てだと誤解し、友人ピングリーを守ろうとした結果だったのですね。
いつもは堅物のダーシーですが、妹に向ける無邪気な笑顔や、フラれた後でもエリザベスの妹を陰ながら救ったことから、彼の本来の人柄を知って好意を抱くようになり、最終的には自分もいかに「高慢」であったかを自覚し、似た者同士だと喜ぶエリザベス。
めちゃくちゃ金持ちで見た目も(本当は)性格も良いダーシーには、結婚相手候補の令嬢も何人かいたのですが、彼を射止めたエリザベスのシンデレラストーリーでした。
画像引用元:Pride & Prejudice’ Is a Subtly Horny Balm for Our Time|Vulture
お人好しカップル:ジェーンとピングリー
温和な金髪美女と金髪好青年。誰から見てもお似合いのカップルですね。
何事もなければそのまま幸せにゴールインでしたが、ピングリーの妹がベネット家を下品だと判断し、それにつられてダーシーもただの金目当てだと誤解してしまいます。
確かに、父親・長女ジェーン・次女エリザベス以外のベネット家の人間は、客観的に見ても良い印象ではありません笑。
お人好しのピングリーは友人の助言により、ジェーンと距離を置くようになってしまい、お人好しのジェーンもただそれに従ってしまいます。
最終的にはそれぞれの誤解が解け、無事幸せになって良かったです。
ジェーンがピングリーのプロポーズに涙を流して喜ぶシーンは素敵でした。
しかしこの昔の時代の、交際期間ゼロでプロポーズ(結婚)の流れは、改めてすごいなと思います。
ちなみに、ピングリーの妹キャロラインは、ちょっとプライドが高そうなキツい印象の女性でした。
小説によると、ダーシーに好意を持っているそうで、エリザベスとダーシーが結婚したら心中穏やかではなさそうですね。。。
画像引用元:Alchetron
夢のない現実的なカップル:シャーロットとコリンズ
遺産を相続し、職業も牧師という経済的に問題のないコリンズですが、性格にやや難あり。
明らかに非モテ男性として描かれています笑。
長女はピングリー氏と良い仲なので、次女はどうかと安易に勧めるベネット夫人の助言でエリザベスにプロポーズしますが、お金はあっても愛のない結婚はしたくない彼女はきっぱり断ります。
しかしその後、エリザベスの友人シャーロットと結婚。
シャーロットは正直容姿はパッとせず、(当時でいうと)行き遅れの年齢で、愛はなくとも将来を心配して生活のために結婚します。
それで幸せなの?!と驚くエリザベスでしたが、生活に困らないそれなりな家庭を築けて意外と幸せそうに見えたので良かったです。
最初は嫌な奴に見えたコリンズも、夫婦となってからは不思議なことに良い人に見えるようになりました。
ちょっと変わっていてイケてないけれど、性格が悪いわけではないので「ごく普通な夫婦像」という感じでした。
画像引用元:Pride and Prejudice – Charlotte is engaged to Mr. Collins|YouTube
お騒がせバカップル:リディアとウィッカム
四女と五女は、まだ若いということもありキャッキャしているので品や節度がなく、キャロラインに一家が軽視される所以でもあります。
母親の影響もあり俗っぽく計算高い性格でもあるので、あまり可愛いらしい感じはしません笑。
五女のリディアは物語の中で重大な事件を起こしますが、それが将校ウィッカムとの駆け落ち。
ウィッカムは過去にダーシーの妹とも駆け落ちしようとしましたが、財産目当てで再び事件を起こします。
結局、ダーシーがお金を出してリディアを戻してくれますが、戻ってきた彼女はバカなので反省の色もなしでした。
でもそのおかげで、エリザベスはダーシーの素晴らしさに気付けるのですけどね。
ちなみに、三女のメアリーは、恋より自分を磨くことに努力しているのですが、それもなかなか上手くいっていない様子。
個人的には将来的に、四女と五女よりは幸せになってほしいですね。
画像引用元:Reddit
残すところは、大富豪キャサリン夫人の娘。
ちょっとだけ出てきますが、身体が弱そうでものすごく地味な女性でした。
夫人はダーシーと結婚させたがっているので、エリザベスとダーシーが結婚すると聞きつけてエリザベスに抗議しに来ます。
しかし、そのときはまだダーシーに好意を持ち始めた段階で、結婚を承諾した仲ではなかったため、エリザベスは誤りだとハッキリ言い切り、毅然とした態度で夫人を追い返します。
その後、やっと気持ちに素直になったエリザベスとダーシーが結ばれたところで物語は終わりますが、その後も波瀾万丈ありそうですね笑。
画像引用元:Amazon Prime Video
キャラの個性を引き出すキャスティング
主演のキーラ・ナイトレイは、昔の時代の女性をよく演じていますが、本当に似合いますね。
割と悲劇のキャラが多いですが本作はハッピーエンドで、美しく強気なキャラがとても似合いました。
ジェーン役のロザムンド・パイクも優しく美しい姉役にピッタリですが、他の作品では強い女性も多々演じているので、演技力の幅に驚かされます。
三女は地味な女の子でしたが、演じたタルラ・ライリーはスタイル抜群で化粧映えする美女です。
『聖トリニアンズ女学院』という映画で最初は地味な女の子からモデル美女のように激変するシーンは見どころです。
五女のジェナ・マローンは、主演作は少ないですが名脇役のイメージで、よく見かける印象強い女優です。
四女はあまり活躍しませんが、なんとキャリー・マリガン。
『私を離さないで』『華麗なるギャツビー』『17歳の肖像』『ドライヴ』などなど、多くの映画作品で主演やヒロイン役を演じています。
※以下写真は、左から次女エリザベス(キーラ・ナイトレイ)を除く上記紹介順。
画像引用元:Into Film
名脇役といえば、コリンズ役のトム・ホランダー。
主役の記憶はほぼありませんが、助演で本当にたっくさんの映画で見かけます。
いずれも悪役だったり変人だったりが多いかもしれません。
ウィッカム役のルパート・フレンドは、善人役だったり悪人役だったり。
キーラ・ナイトレイと同様に、現代よりも昔の時代の役が似合うイメージです。
ダーシー役のマシュー・マクファディンも、ピングリー役のサイモン・ウッズも、他ではあまり見覚えがありませんが、時代劇映画の出演が多そうでした。
うっとりする美しい景観
本作のラブストーリーも素晴らしいですが、魅力は何と言っても美しい景観だと思います。
田舎町ということで、イギリスの湖水地方の自然の美しさも素晴らしいですし、富豪たちの住む邸宅も豪華で素晴らしいです。
エリザベスが心の葛藤などを持ちながら歩く大草原
画像引用元:PRIDE & PREJUDICE (2005) – “Elizabeth at the Cliffs” Official Clip|YouTube
そしてダーシーの豪邸ペンバリー館として撮影されたチャッツワース・ハウスの映像は必見です。
チャッツワース・ハウス(Chatsworth House)
イギリス・ダービシャーにある16世紀に建てられた、デヴォンシャー公爵の邸宅。
イングランドでも有数の優美なカントリー・ハウスとして名高く、庭園の広さは東京ドーム約9個分(105エーカー)。
さらに、30もの豪華な部屋やヨーロッパ最大級の絵画コレクションがあり、観光地としても人気が高い。
正面階段のある大広間(Painted Hall)
画像引用元:Reddit
彫像ギャラリー(Sculpture Gallery)
映画に出てくる「ベールをかぶった女性像(Vailed Vestal Virgin)」もあります。
石でできているのにうっすらと表情が透けて見えるような精巧な造りは、一度でいいから生で見てみたいです!
映画の撮影用に造られたダーシーの彫像もあるようです。
画像引用元:Focus Features
また、エリザベスとダーシーが再会して、お互いの気持ちが通じ合う夜明けのシーンは、ふたりの顔の間に昇る朝日が後光となって本当に美しいです。
ディレクターズカット版のエンディング映像にもある、結ばれたふたりが夜バルコニーで寄り添うシーンもめちゃくちゃロマンチックです。
『プライドと偏見』ロケ地紹介|英国政府観光庁|VisitBritain
映像にピッタリの美しい音楽
上記で紹介した美しい映像とともに流れる音楽も、心が洗われるように美しいです。
音楽担当はダリオ・マリアネッリで、どの曲もピアノや弦楽器の旋律が美しいのでぜひ聴いてみてください。
特に個人的にお気に入りなのは、テーマソングともいえる「Dawn(夜明け)」です。
『プライドと偏見』の視聴方法
『プライドと偏見』は「U-NEXT」や「Amazonプライムビデオ」などで視聴することができます。
まだ会員でない方は、初回の無料トライアル期間を利用して『プライドと偏見』や、さまざまな映画・ドラマ作品を楽しんでみてはいかがでしょうか。
スタッフ・DVD情報など
監督:ジョー・ライト
製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、ポール・ウェブスター
製作総指揮:ライザ・チェイシン、デブラ・ヘイワード
脚本:デボラ・モガー
撮影:ロマン・オーシン
プロダクションデザイン:サラ・グリーンウッド
衣装デザイン:ジャクリーン・デュラン
編集:ポール・トシル
音楽:ダリオ・マリアネッリ
視覚効果:ダブル・ネガティブ
公開日:2006年1月14日
DVD発売日:2006年6月23日
配給:UIP
DVD販売:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
サントラCD販売:ユニバーサル・クラシック
画像引用元:Amazon Prime Video
裏話・その他情報
- DVDには特典映像として「アメリカ版 エンディング」(エリザベスとダーシーが夜のバルコニーで寄り添うシーン)が収録されている。(日本版ではラストシーンがカットされている。)
- 監督ジョー・ライトは、この映画で知り合ったジェーン役のロザムンド・パイクと婚約。(しかし、2008年5月に行う予定だった結婚式を土壇場でキャンセルした。)
- 主演のキーラ・ナイトレイとウィッカム役のルパート・フレンドが、2005年から交際をスタートさせた。(~2010年。)
ジェーン・オースティンの他の映像作品
- 『EMMA エマ』(2020)
- 『分別と多感』(2008)
- 『ジェイン・オースティン 秘められた恋』(2007)
- 『説きふせられて』(2007)※原作は『説得』
- 『ノーサンガー・アベイ』(2007)
- 『マンスフィールド・パーク』(1999)
- 『Emma エマ』(1996)
- 『高慢と偏見』(1995)
- 『いつか晴れた日に』(1995)
- 『待ち焦がれて』(1995)※原作は『説得』
他にも、ジェーン・オースティンに関連した映画・映像作品はたくさんあります。
個人的に『プライドと偏見』(2005)の次にオススメするのは、本人を主人公とした『ジェイン・オースティン 秘められた恋』で、主演はアン・ハサウェイです。
関連記事紹介
映画好きにオススメな動画配信サービスTOP3
\ 第1位 /
作品数No.1!U-NEXT
・31日間の無料トライアルあり
・毎月1,200円分相当のポイントがもらえる
・21万本以上の作品が見放題
・映画・ドラマ・アニメの最新作も視聴可能
・マンガ、ラノベなどの原作も読める
・最大4アカウントまで登録可能
・Blu-ray Disc並みの高画質で視聴可能
お試し中でも600ポイント付与!期間中に解約すれば完全無料!
\ 第2位 /
最強コスパ!Amazonプライムビデオ
・料金が安い(月額500円以下)
・オリジナル作品が面白い
・ユーザーレビュー(評価)を参考にできる
・ダウンロード視聴ができる
・視聴対応デバイスが多い
・3台同時視聴ができる
・Amazonプライム会員の特典が他にも豊富
・無料トライアル期間がある
(30日間 ※学生は6ヶ月)
期間中に解約すれば完全無料!
▼Amazonプライムビデオとは?メリット・デメリットなど完全解説!
\ 第3位 /
映画特化型!WATCHA
・世界中で集められた6億件を超える作品評価データを基に、作品をレコメンドしてくれる
・専門映画レビューアプリ「WATCHA PEDIA」と連携し、オススメ機能が更に充実
・最大4アカウント作成でき、同時視聴も可能
・ダウンロード視聴ができる
・無料トライアル期間がある
期間中に解約すれば完全無料!
アイキャッチ画像引用元:Amazon Prime Video
この記事へのコメントはありません。