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    更新日: 2021.10.6

 

映画「夜の来訪者」あらすじ、キャスト、ストーリー解説(ネタバレ)や感想|秀逸な寓話作品

87分という短めのお話ですが
評価が高かったので観てみたら、とても面白かったです
原作が戯曲ということもあり、舞台劇を見てるような映画でもあります
何度も舞台化、映像化されているようですね

Overview –概要

原 題 :An Inspector Calls
製作年 :2015年
製作国 :イギリス(BBC)
ジャンル:ミステリー、ヒューマンドラマ
上映時間:1時間27分
監 督 :アシュリング・ウォルシュ
原 作 :同名のイングランドの劇作家 J・B・プリーストリーの戯曲

メインキャスト
バーリング家
父アーサー – ケン・ストット
母シビル – ミランダ・リチャードソン
姉シーラ – クロエ・ピリー
弟エリック – フィン・コール
ジェラルド・クロフト – カイル・ソラー
グール警部 – デヴィッド・シューリス
エヴァ・スミス – ソフィー・ランドル

あらすじ
1912年のある夜。バーリング家では長女シーラと、バーリング家とライバル関係にあるクロフト家の息子ジェラルドの婚約を祝う食事会が行なわれていた。地方出身だが事業で成功した父アーサー、上流階級出身で特権意識の強い母シビル、そして酒飲みで頼りない弟エリックも、2人の婚約を心から祝福していた。そんな中、グールという警部が屋敷に現れ、ある1人の女性の自殺を告げる。 2年前、アーサーに解雇されたエヴァ・スミスのことだった。さらに警部は、その場にいある全員とエヴァの死の関わりを暴いていき・・・。




Story –ネタバレ

ある夜、一人の男と女が逢瀬をしていた。「神を信じる?」「信じるわ。人間は信じられないけど、何かを信じなきゃ、裂け目から落ちるわ。永遠に」

それから時が経ち、1912年のある夜、事業で成功を納めているバーリング家では、長女シーラとライバル社クロフト家の息子ジェラルドの婚約を祝う食事会が開かれていた。食事後、世間体や建前を気にする母シビルは弟エリックにお酒を控えろと説教をし、うんざりする弟。そして父アーサーは次の叙勲受賞者にノミネートすることを誇らしげに語っていた。そんなとき、メイドからグールという名の警察が来たと告げられる。警察にも顔がきくアーサーだが、彼は初対面だった。グール警部は3時間前に自殺のため病院で亡くなった若い女性の情報収集で訪れたと言う。その女性の名はエヴァ・スミス。彼女は2年前バーリング社の工場をクビになった従業員だった。大勢の従業員を抱えているからとシラを切るアーサーに「覚えているはず」と彼だけに写真を見せるグール警部。彼はエヴァの写真と残された日記をもとに、ひとりずつ話を聞くという。

画像引用元:YouTube / An Inspector Calls | Trailer

父アーサー

エヴァを解雇をした理由は、賃金の増額を求め全従業員とストを起こしたためだという。しかしストは続かず渋々戻ってきた従業員だが、アーサーは発起人と思しきエヴァだけを解雇したのだった。父の話を聞いて反発するエリックと、当然の処置だと同意するジェラルド。それに対し「搾取するよりは(解雇した方が)マシだ」とグール警部は皮肉を言い、当時の出来事が自殺の一因に成り得ると話す。言いがかりだと署長との仲を主張し、帰らせようとするアーサーだが、全く動じず「全て明らかになるまで決して帰らない」と居座るグール警部。そこへ姉のシーラも何事かとやってきて、彼女も話を聞くことに。

姉シーラ

解雇後、エヴァは頼れる両親も友人もおらず無職で困窮していた。しかし2ヶ月後、幸運にも高級デパートでの職を得たのだが、1ヶ月半で解雇されてしまう。理由は顧客からのクレームだった。彼女に問題があると決めつけるアーサーとジェラルドだったが、その時期を聞いて言葉を失うシーラ。そこでグール警部はシーラに写真を見せると、「クレーム客は私よ…正当な理由ではなかった」と自白する。自分の気に入った服を母親に似合わないと侮辱され、苛立ったシーラは無理やり試着するがやはり似合わず、そのとき対応したエヴァに八つ当たりし、彼女を解雇しなければ取引中止を父に頼むと言ったのだ。なぜあんなことをしたのかと謝るシーラに「嫉妬したからだ」とにべも無く言うグール警部。エヴァはどんな服も似合う美しい女性だった。そして痺れを切らした母親シビルも同席する。

画像引用元:YouTube / An Inspector Calls | Trailer

婚約者ジェラルド

その後の職探しは厳しく、数ヶ月空腹に苦しんだエヴァは生き方を変えるため、名前も「デイジー・レントン」に変えた。それを聞いて驚くジェラルドに、シーラは彼らの関係性を疑いショックを受ける。

ある晩、バーで議員に言い寄られ困っていたデイジーをジェラルドが見つけ庇う。空腹で倒れそうなデイジーに食事を奢り、彼女が古びた下宿の家賃さえ払えず困窮していることを知った彼は、友人の空き部屋を当てがい囲ったのだった。美しい女性と紳士的な救済者に情が芽生えないはずもなく、夏の間ジェラルドはシーラと交際中にデイジーと逢瀬していたのだった。「わかってほしい、ただ助けたかっただけだ、男なら誰でも…」と弁解するジェラルドに「下劣ね」と吐き捨てるシビル。秋になり関係を精算しようと思ったジェラルドだったが、デイジーはすがることもなく静かに姿を消し、それきりだった。「彼女を利用し、用済みになると捨てた」と結論づけるグール警部。デイジーは日記に「あんな幸せは二度と訪れないかも」と記していた。

「囲われた日々が幸せならその程度の人間ってことね、彼女の問題を我が家に押し付けないで」と低い身分の女性を非難する母シビルにシーラは「やめて!」と反発し、ジェラルドに「あなたを好きだし(善意で助けたことも)尊敬もしている、でも何かが変わった」と婚約指輪を返し、彼も納得して受け取るのだった。婚約に事業拡大の可能性もみていたアーサーもショックを受ける。いたたまれなくなったジェラルドとエリックは一旦部屋を出る。我関せずのシビルにも「ぜひ見るべきだ、あなたは隠し事をしている」と写真を見せるグール警部。アーサーは「私は公人だぞ、無礼な態度を慎め」と激昂するが「公人には特権と同時に責任もある」と静かに言い返される。両親の態度に嫌気が差したシーラは母親に真実を話すように求める。

画像引用元:YouTube / An Inspector Calls | Trailer

母シビル

シビルは婦人慈善協会の中心人物だが、支援を求めて来たその彼女の申請を却下したのだった。「バーリング婦人」と名乗る写真の彼女は妊娠したが、相手の男性はまだ若く酒好きでお金もないため頼れず、もらったお金も盗んだものだったため受け取らなかったと言う。自分と同じ家名のため偽名とすぐわかり、困窮した状況でお金を受け取らないはずがない、彼女は嘘をついていると決めつけ、相手の男性と結婚してふたりで育てろと結論を出す。身分が違うため結婚できないと訴えられるが「何とかするのね」と突き放すのだった。

身篭った状態で自殺した彼女が「いかに追い詰められていたか分かったか?」と言うグール警部に対し、「臆病者のやることだわ」と反論するシビル。「面目丸潰れだ、慈善協会が支援するべきだった」「クビにしたのはあなたよ」と夫婦喧嘩が始まり、シビルは「全く後悔していないし私の責任ではない、彼女自身と子供の父親の責任よ、父親を追求すべきよ」とグール警部に喰いかかるが、そこで家族は気づくのだった。

弟エリック

部屋に戻ってきたエリックは写真を見て、例のバーから持ち帰った彼女との記憶が蘇る。土壇場で抵抗する彼女を強引に襲ったのだった。グール警部は「彼女の人生を思いやったか」と聞き「いや」と答えるエリックだが、それから家庭や家業でストレスが溜まっていた彼を癒してくれる彼女の優しさに甘えるようになった。今から1ヶ月前に妊娠を知り、エリックは求婚したが「人生を台無しにしないで」と断られたため、会社から盗んだ50ポンドを彼女に渡そうとしたのだった。「なぜ相談しないんだ!」「頼りたくなる父親じゃないからだ!」「金ばかりかかる甘ったれめ!」「どうせ俺はろくでなしさ!」と口論が始まると「親子喧嘩は私が帰った後でやってくれ!」と喝を入れるグール警部。協会での彼女の話は本当だったと悲しむ姉を見て不思議がる何も知らないエリックに、グール警部は2週間前に慈善協会が彼女の申請を却下したことを告げる。「僕の子が…」と絶望するエリックは彼女の死因を聞く。消毒薬を大量に飲み、胃が焼ける苦悶の末、息絶えたと答えるグール警部。

画像引用元:YouTube / An Inspector Calls | Trailer

「君たちは彼女の死に加担した。絶対に忘れるな」と帰り支度をする警部に、アーサーは金で揉み消そうと食い下がるが「今さら金を出すと言っても遅い、彼女はもう死んだ。もう苦しめることも助けることも、謝ることもできない」と教訓を言い残し去ってゆく。「覚えておけ、エヴァのように追い詰められた人々は今も我々に残されている。彼らの人生・希望・恐怖、苦しみや幸せのチャンスは我々に懸かっている。我々の考え方や発言、行動次第なのだ。利己主義に走らず、互いに責任を持つのだ。この教訓を人類が自ら学ばなければ、強制的に教えられる。炎や血や、苦悶を通して。ーよい夜を」

しかし警部が去った後も、息子の窃盗犯罪を非難したり、爵位を失う心配や恥をかく心配をするアーサー。ここにいるより刑務所の方がマシだ、あんな風になりたくないと親のみっともなさを非難する姉弟。しかし不意に、事情聴取というより彼らを責めていたグール警部の存在に疑念を抱く。アーサーが署長に電話してみるとグールという名の警部も、新顔警部もいないということだった。振り返ると、話の女性は全て同じ人物だっただろうか(写真は一人ずつ見たため)、そもそも本当に女性が死んだのか、名声を狙った悪戯じゃないのか、と思い始める。そこで次は病院に電話をかけるが、今夜自殺した女性はいないとのことだった。

暗い路地からグールは窓辺のエヴァを見上げていた。しかしエヴァからは無人の路地しか見えていなかった。

彼女が出かけると、留守の部屋に入ったグールは、彼女の日記と写真を手にする。公園についた彼女は消毒薬を飲み干すのだった。病院に運ばれた彼女の目にグールの姿が映る。彼は亡くなった彼女の手をそっと握るが、看護師が覗いたその部屋には、エヴァの亡骸しかなかった。

一方、騙されただけだと知り浮かれ気分で酒を飲みなおしていたバーリング家に、1本の電話が鳴る。

それは、女性が自殺をし、今から警察が事情聴取に来るという知らせだった。

画像引用元:YouTube / An Inspector Calls | Trailer

Opinion –個人的な感想

グール警部の正体

これは冒頭のエヴァの台詞が全てではないかと思います。
「神を信じる。でないと裂け目から落ちてしまう、永遠に」
また、自殺するため家を出る直前にも出てくる台詞でもあります。
つまりはグール警部は神、「死神」だったのだと解釈しました。
息を引き取る瞬間に、彼女の目に写りましたが、苦しげな表情の中に、一瞬解放されたような安堵の表情が見てとれた気がします。
親もおらず、頼れる友人もいない。
辛い目に遭い続けたエヴァの唯一の味方のように見えました。

そんな彼女を不憫に思い、救うため、バーリング家にやってきて、彼らに改心のチャンスを与える・・・。
もし、グール警部が去った後、すぐに彼女のことを調べたり亡骸を見に行こうとしていたら、彼女は死なずに済んだかもしれません。
彼女が本当に亡くなるまで、数時間の時差があったのですから。

グール警部の名言や的確な台詞

「誰が」一番悪い・悪くない、とかそうゆう考えではなく、全員が「関わっている」「責任がある」。
去り際のグール警部の台詞がものすごく重いというか、この作品のテーマかなと思います。
台詞の中の「我々」とは、主に有権者を指しているのかもしれませんが、「人類全て」を指してもいるかもしれません。
「公人には特権と同時に責任もある」など、重みのある台詞や相手の心にグサッと刺さる言葉が多々あり、それも観ていて面白いです。
また、何事にも動じない表情やゆっくりとした喋り方、演技に凄みを感じます。

画像引用元:YouTube / An Inspector Calls | Trailer Deutsch German HD | Krimi




滑稽な役柄を見事に演じる

グール警部以外の登場人物の態度や発言も、よく観察していると面白いです。
特に父親と母親はかなり腐った人格に描かれています。
なかなか自分の非を認めようとしないし、心配するのは面目や立場ばかり。
挙句、金で解決しようとするところはさすがだなと思います。
騙されただけだと思い込んだ後の豹変ぶりもすごいですね。
よくあんなあっけらかんとお酒飲めるなと笑えてきます。

婚約者のジェラルドも、最初はエヴァを非難していたくせに、自分の愛した女性だと知ると泣き出したり。
割愛しましたが、無罪だと知ったあとは再びシーラに「君の心を取り戻すために何でもする」とプロポーズしていました。
切り替わりが早すぎて全く信用できませんね(笑)

彼らに比べ、まだ若者の息子と娘は、事の重大さに応えていたようです。
両親を半面教師として、今後真っ当な人間に育ってほしいですね。
婚約者に女性問題が浮上したときのシーラの反応もわかりやすかったです。

エヴァという女性の気高さ

原作が戯曲ということもあり、ほぼ場面はバーリング家のお屋敷の一室。
それでも全く飽きることなく観続けられるのは、話の展開もさることながら、それぞれ役柄が本当にはまり役だったからかと思います。
個人的には母親のキャラクターが一番強烈で面白かったです。
もうエヴァが妊娠したと話した時点で父親は息子だと容易に想像つくのですが、それに気づかず低い階級の人を見下した態度がすごいですね。
序盤から世間体や建前、身分にこだわりを持っていることが上手く表現されています。
そして品格を謳っていましたが、一番気品があったのはエヴァでしたね。
従業員仲間のためにも勇気を持って抗議をし、エリックが盗んだお金には手をつけず、ジェラルドやエリックの迷惑にならないようにと自ら身を引く。
見た目もとても美しかったです。
(容姿を比べられた姉役の女優さんも、現代の服装の画像を見たらとても綺麗でした)

画像引用元:YouTube / An Inspector Calls | Trailer Deutsch German HD | Krimi

また緊張感や切なさを醸し出す音楽も素晴らしかったです。

色々と意見を書きましたが、果たして自分はどうか、とふと思います。
昔のイギリスほど身分の差などはないですが、偏見を持っていないか、世間体等にこだわり大事なことを見失っていないか、立場が変われば意見をころっと変えていないか。
どんなときも、発言と行動に責任を持つことを、頭に入れておきたいですね。

 

アイキャッチ画像引用元:YouTube / An Inspector Calls | Trailer Deutsch German HD | Krimi




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