フランスの映画で、可愛らしいほのぼの系作品かと思いきや、意外とシビアな大人向けの作品でした。
第31回東京国際映画祭でグランプリと最優秀脚本賞をW受賞しています。
原題はシンプルに『Amanda』で、姪っ子の名前になります。
Overview –概要–
原 題 :Amanda
製作年 :2018年
製作国 :フランス
ジャンル:ヒューマンドラマ
上映時間:1時間47分
年齢制限:PG12
監 督 :ミカエル・アース
画像引用元:映画『アマンダと僕』公式サイト
メインキャスト
ダヴィッド – ヴァンサン・ラコスト
アマンダ – イゾール・ミュルトリエ
サンドリーヌ – オフェリア・コルブ
レナ – ステイシー・マーティン
モード – マリアンヌ・バスレー
アクセル – ジョナタン・コーエン
アリソン – グレタ・スカッキ
あらすじ
夏の日差し溢れるパリ。便利屋業として働く青年ダヴィッドは、パリにやってきた美しい女性レナと出会い、恋に落ちる。穏やかで幸せな生活を送っていたが 突然の悲劇で大切な姉が亡くなり、ダヴィッドは悲しみに暮れる。そして彼は、身寄りがなくひとりぼっちになってしまった姪アマンダの世話を引き受けることになる…。親代わりのように接しようとするが、まだ若いダヴィッドには荷が重く、戸惑いを隠せない。アマンダも、母親を失ったことをなかなか受け入れられずにいる。互いに不器用で、その姿は見ていてもどかしく、しかし愛おしい。悲しみは消えないが、それでも必死に逞しく生きようとするアマンダと共に過ごすことで、ダヴィッドは次第に自分を取り戻していく――。
出典:映画『アマンダと僕』公式サイト
Opinion –個人的な感想–
平凡で幸せな日常
最初は本当にほのぼのとした日常系の映画かと間違えます。
庭仕事やアパート管理など、平凡だけどそれなりに充実感のある仕事。
姉のデート話など、恋愛話で盛り上がる仲の良い姉弟。
そして同じように仲良しの姪っ子。
引っ越してきた明るく可愛らしい女性との新しい出会い。
個人的に、どこかオシャレに感じる「パリの暮らし」がとても魅力に感じました。
窓を開けて街並みを見下ろしながら一服したり、エスプレッソを飲んだり。
自分だったら窓を開けても大した景色ではないし、虫や埃が入ってくるのが嫌なので絶対やらないですが、パリのアパルトマン(家具付アパート)でならできそうだと思いました。
建物は歴史ある古き良きものだと思いますが、カラフルな内装はちょっと現代的で、生活感がある感じも素敵でした。
街を自転車で走ったり、公園の芝生の上でゴロゴロしたり。
アマンダが2日に1回食べられる、好物のシュークリームを買ってすぐ頬張りながら歩いているところも、自由な感じで可愛らしかったです。
画像引用元:映画『アマンダと僕』公式Facebook
美しいパリジェンヌに囲まれて
主役のダヴィッド演じるヴァンサン・ラコストももちろんイケメンですが、個人的に注目したのは女優が皆美人だということ。
ダヴィッドの姉でアマンダの母であるサンドリーヌを演じるオフェリア・コルブは金髪の美女。
ダヴィッドが24歳の設定なので、サンドリーヌは20代後半かと思われます。
シングルマザーですがデートの予定があったりと、娘がいてもモテそうです。
また、ダヴィッドが管理するアパルトマンに越してきたレナ(ステイシー・マーティン)も、明るくていい子そうでとても可愛いです。
最初は爽やかな友達関係で、自然と恋人関係になっていきます。
ダヴィッドはオシャレとは言えない、こだわりのなさそうな服装ですが、彼女達のファッションはどれも素敵です。
デニムに赤いTシャツ、ホットパンツにサンダルと、ラフな衣装がとても魅力的。
アマンダも基本薄着ですが、今時の女の子という感じでオシャレでした。
また、叔母モード(マリアンヌ・バスレー)もスタイルが良く美しいです。
本作は素敵なパリジェンヌを堪能できる作品でもあります。
画像引用元:映画『アマンダと僕』公式Facebook
静かでリアルな悲劇
後半で悲劇が起こります。
姉のピクニックデートに、ダヴィッドとレナも合流する予定でしたが、ダヴィッドはたまたま電車の遅延で到着が遅れます。
ダヴィッドが到着した頃には公園でテロが起きた後で、血だらけの人々が何人も倒れており、前半の平和な映像からは信じられない光景でした。
呆然と立ち尽くすダヴィッド。
姉サンドリーヌが映るのは、ピクニックに出かけていく姿が最後で、その後は全く映りません。
観客にとっては、元気で美しい姉の姿が記憶に残ります。
その後も時は過ぎお葬式を終えたり、アマンダの後見人の話を聞いたり。
淡々と時間が流れ、泣き叫ぶような崩れ落ちるような、ドラマティックすぎる描写はなく、逆にリアルに感じます。
とても悲しいことがあったとき「普通はこうゆう反応かもしれないな・・・」と思う描き方でした。
画像引用元:映画『アマンダと僕』公式Facebook
子役の自然な演技
アマンダ役の子役、イゾール・ミュルトリエの演技も素晴らしかったです。
ブロンドヘアと青い瞳、子供らしいちょっとぷっくりした体形も可愛らしいです。
ダヴィッドから母親の死を告げられ、泣き出す彼の前でぼーっとするアマンダ。
突然母が死んだと聞かされても、現実味がないというか、すぐには受け入れられないと思います。
しかし時間が経った後、ふとしたことでサンドリーヌを思い出すアマンダは、夜中に泣き出したりします。
それはダヴィッドも同じで、辛い現実に直面するとやるせない気持ちになり涙を流すシーンが多々ありました。
画像引用元:映画『アマンダと僕』公式Facebook
最後ウィンブルドンのテニス試合鑑賞で、片方の選手が劣勢になっているのを見て、母と語った言葉「Elvis has left the building.(エルヴィスは建物を出た)*」を呟き泣き出すアマンダ。
この言葉は「楽しいことはもう終わり」という意味で、テニスの試合はもう終わり、母と過ごした日々はもう戻らない、という気持ちでいるのでしょう。
しかし、ダヴィッドが「諦めるのはまだ早い」と励ますと、劣勢の選手が後半巻き返します。
それを見てだんだんと笑顔になるアマンダ。このシーンは最高でした。
* “Elvis has left the building.”
直訳は「エルヴィスは建物を出た」。
「楽しいことはもう終わり」という意味で使われる英語の言い回し。
1956年、エルヴィス・プレスリーのショーが終わった後、会場をなかなか去ろうとしない女性たちにディスクジョッキーが発した言葉がもとになっている。
事件の爪痕とその後
アマンダを養女にするかどうか、ダヴィッドは悩みます。
24歳の若さでいきなり子供を養うという決断はなかなかできないと思います。
最初は仲良しのイメージしかありませんでしたが、サンドリーヌが亡くなってからは、アマンダも情緒不安定になり、喧嘩することも。
仕事をしながらアマンダの世話をするダヴィッドも、学校に遅刻してしまったり、送り迎えなど色々と大変そうです。
それでも、アマンダにとってサンドリーヌの次に親しいのはダヴィッドなのです。
悩みながらも、ダヴィッドはアマンダを養女にすることを決め、ふたりで生きていこうとします。
恋人レナも命は助かりましたが、腕を負傷してしまいます。
精神的ダメージも大きく、今の自分ではダヴィッドの重荷になると判断し、実家に帰ることにします。
実家まで訪ねたダヴィッドはレナにプロポーズしますが、まだ完全に立ち直っていないレナは断ります。
でも、お互い愛し合い「まだ時間はあるわ」と将来の可能性を含めた返事が良かったです。
時が経ち、一緒になれる日が来たら嬉しいですね。
画像引用元:映画『アマンダと僕』公式Facebook
序盤で、ダヴィッド・サンドリーヌ・アマンダの3人で、ウィンブルドンを観るロンドン旅行の計画を立てていました。
そして長年会っていない母親と会おうというサンドリーヌの提案に「僕は会いたくない」と断るダヴィッド。
しかし、アマンダとふたりで訪れたロンドンで、母親のアリソンと再会します。
ダヴィッドとアマンダの力になりたいというアリソンと和解したシーンも良かったです。
ふたりで思いっきり旅行を楽しんでいる姿がとても幸せそうで、なんとも微笑ましい心温まる作品でした。
画像引用元:映画『アマンダと僕』公式Facebook
『アマンダと僕』の視聴方法
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アイキャッチ画像引用元:映画『アマンダと僕』公式Facebook
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