非現実的であり、現実的でもあり、印象深い映画でした。
無実の罪で捕まってしまったら、人は諦めるしかないのでしょうか。
それとも・・・
Overview –概要–
原 題 :Pour elle(英:Anything for Her)
製作年 :2008年
製作国 :フランス
ジャンル:スリラー、ヒューマンドラマ
上映時間:1時間36分
監 督 :フレッド・カヴァイエ
メインキャスト:
ジュリアン – ヴァンサン・ランドン
リザ – ダイアン・クルーガー
オスカル – ランスロ・ロッシュ
アンリ・パスケ – オリヴィエ・マルシャル
あらすじ
国語教師のジュリアンは、出版社務めの妻リザと息子オスカルと3人で幸せな生活を送っていた。しかしある朝、突然リザが上司殺人容疑で逮捕・投獄されてしまう。状況証拠などから、ジュリアン以外の誰もが彼女の罪を確信していた。絶望するリザは次第に衰弱して精神も病んでゆく。ジュリアンは彼女の人生と家族の幸せな生活を取り戻すため、大きな決断をする。それは、正義・道徳・地位・信頼・未来、人生のすべてを投げ打ち、リザを脱走させる計画だった…!
Opinion –個人的な感想–
一般人が脱獄を成功させる
この映画の最大の特徴は、ごく普通の一般人が、しかも「教師」という、人の前に立ったり手本となるべき職業の人が、脱獄を成功させる、というところにあると思います。
終盤、ジュリアンが用意周到に準備してきた(妻の)脱獄計画を見た刑事が、感嘆するようなシーンがありますが、我々視聴者も思わず褒め称えたくなりますし、脱獄成功を祈るばかりです。
無実の罪で捕まった、明らかに真面目で頭脳明晰な主人公が脱獄を成功させる、あの名作映画「ショーシャンクの空に」に、少し似た感覚です。
画像引用元:Pour elle de Fred Cavayé (2008) – UniFrance
現実的に描かれた非現実的な話
チンピラに暴力を振るわれるシーンなど、様々なシーンがリアルに描かれており、「脱獄するって並大抵じゃないな・・・」と観ていて手に汗握るシーンが多いです。
愛する人を救うために、まさに正義・道徳・地位・信頼、これまでの人生のすべてを捨てる覚悟が必要です。
そしてその後の未来も、輝かしいものになるかはわかりません。
冷静に考えると「そんなことできるわけない」「成功するはずもない」とかなり非現実的と思えますが、リアルな描写が現実的に見せてくれています。
実際に無実の罪で捕まり、もう裁判などで勝つ見込みがなく刑務所人生を余儀なくされたら・・・脱獄するかも?
「脱獄は簡単だがその後が大変だ」
最後、無事に外国に降り立ったところで映画は終わりますが、そのまま平和に新たな人生を歩んで欲しいと切に願います。
画像引用元:Pour elle de Fred Cavayé (2008) – UniFrance
美しき妻
犯罪とは無縁そうな真面目な主人公を演じるヴァンサン・ランドンも渋かっこよくて魅力的ですが、この作品も魅力のひとつは、なんと言っても妻を演じる美しいダイアン・クルーガーです。
こんな聖女のような人が殺人なんてするか!と思うほどの儚げな美しさ。まさにピッタリの役だなと、個人的に思いました。
全てを投げ打ってまで助けたくなるのもちょっとわかる気がします・・・。
画像引用元:Pour elle de Fred Cavayé (2008) – UniFrance
リメイク作品も良作
「スリーデイズ」というタイトルで2010年にアメリカで製作され、ラッセル・クロウが主演。
内容はほぼ一緒ですが、演出が若干異なるくらいです。
こちらも話は非現実的なはずなのに、ラッセル・クロウの演技が素晴らしく、全くチープな感じもせず、ストーリーがわかっていても引き込まれる良作でした。
ただのアクション映画ではなくヒューマンドラマ感、スリラー感を出すのはさすがラッセル・クロウだなと思いました。
画像引用元:JustWatch
「すべて彼女のために」の視聴方法
「すべて彼女のために」は、残念ながら現在配信しているサービスはありません。
DVDのレンタルか、購入で視聴してみてください。
(DVD化された際の邦題は「ラスト3デイズ 〜すべて彼女のために〜」です。)
なお、「スリーデイズ」は現在「Amazonプライムビデオ(レンタル)」で配信しています。
アイキャッチ画像引用元:https://es.unifrance.org/pelicula/29301/pour-elle
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