戦争映画はたくさんありますが、その中でも作品が多く印象的なのは、第二次世界大戦下の「ホロコースト」「ヒトラー」をテーマとした作品だと思います。
そこで今回は、「ホロコースト」「ヒトラー」に関連するおすすめ洋画を5つご紹介します。
戦争映画は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、気になっている方はぜひ参考にしていただければと思います。
ヒトラーによるホロコースト
1933年〜1945年、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の指導者であるアドルフ・ヒトラーとその協力者による、約600万人のユダヤ人の組織的・官僚的・国家的な迫害および殺戮を「ホロコースト」と呼び、「焼かれたいけにえ」という意味のギリシャ語を語源とする言葉です。
ホロコースト、ヒトラーを題材としたおすすめ戦争映画5選
「ライフ・イズ・ビューティフル」
人生は、美しい。
あらすじ
1939年、ユダヤ系イタリア人のグイドは、小学校の教師ドーラに恋をする。彼の純粋さに惹かれた彼女は結婚を承諾。やがて可愛い息子も生まれ、3人は幸せな日々を送っていた。そんなある時、彼らに突然強制収容所への収監命令が下る・・・。
嗚咽号泣レベルの傑作です。
イタリアのチャップリンと称されるロベルト・ベニーニ監督の、ユーモアと哀しみを交錯させた演出が秀逸と言われています。
ロベルト・ベニーニは監督(脚本も)でもあり、主演(グイド役)でもあります。
ドーラへの愛情表現も微笑ましくて素敵ですが、ユダヤ人迫害という悲劇の境遇において、「これはゲームだよ」と、息子を決して怖がらせずに守るためのユーモアな努力が、美しくも切なく、本当に泣けてきます。
作品情報
<原 題> La vita è bella(英題:Life Is Beautiful)
<製作国> イタリア
<製作年> 1997年
<上映時間> 1時間56分
<監 督> ロベルト・ベニーニ
<主なキャスト> ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ
<主な受賞歴>
第51回カンヌ国際映画祭:審査員グランプリ
第71回アカデミー賞:主演男優賞、作曲賞、外国語映画賞
「戦場のピアニスト」
音楽だけが生きる糧だった
あらすじ
1939年9月、ポーランド。ナチス・ドイツが侵攻したこの日、ユダヤ人の迫害が始まる。ピアニストのウワディスワフ・シュピルマン(ウワディク)は、様々な迫害に遭いながらも静かに時をやり過ごす。しかし、やがて一家を含む大量のユダヤ人が収容所へと向かう列車に乗せられる。その時、一人の男が列車に乗ろうとするウワディクを引き止めるのだったーー。
ユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの体験記を基にした作品です。
最初に観たときは、非道な迫害シーンに目を覆いたくなるほどで「なんて残酷な映画なんだ!」と、個人的には正直悪評だったのですが、2回目、冷静に観てみるとこの映画の素晴らしさがわかったような気がしました。
主人公のウワディクは、いろんな人の慈悲をや協力を得て、生き延びていくのです。
それが何と尊いことなのか、胸にぐっとくる作品でした。
多くのポーランド人をナチスの迫害から救ったとされるヴィルム・ホーゼンフェルト陸軍大尉に演奏したピアノは、本当に心がふるえる感動でした。
作品情報
<原 題> The Pianist
<製作国> フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス
<製作年> 2002年
<上映時間> 2時間30分
<監 督> ロマン・ポランスキー
<主なキャスト> エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン
<主な受賞歴>
第75回アカデミー賞:監督賞、脚色賞、主演男優賞
「縞模様のパジャマの少年」
フェンス越しに生まれた禁じられた友情。
ホロコーストの悲劇を無邪気な少年の視点から綴ったジョン・ボインの世界的ベストセラー小説の映画化。
純真無垢な少年たちの友情と尊い命を通して、戦争や人種者別がいかに無惨で虚しい行為であるかを痛切に感じる作品です。
「ヒトラーの忘れもの」
少年たちが見つけるのは、憎しみか、明日への希望かーー
帰郷を夢見る少年と 揺れる指揮官
悪夢の中で築かれる絆は、希望となる―
1945年5月、ナチス・ドイツによる5年間の占領から解放されたデンマーク。ドイツ軍が海岸線に埋めた無数の地雷を除去するため、捕虜のドイツ兵たちが駆り出された。
飢えや体調不良に苦しみ、地雷の暴発によってひとりまたひとりと命を落としていく。そんな様子を見て、ナチを激しく憎んでいたラスムスン軍曹も、彼らにその罪を償わせることに疑問を抱くようになる。
やがてラスムスンは、残された任務をやり遂げて帰郷を願う少年たちの切なる思いを叶えてやろうと胸に誓うようになる。しかしその先には思いがけない新たな苦難が待ち受け、ラスムスンは重大な決断を迫られるのだった……。
出典:映画『ヒトラーの忘れ物』公式サイト
これまではユダヤ人迫害に焦点を当てた作品の紹介でしたが、本作はドイツ兵の少年たちが主人公です。
ナチス占領下の各国からすると、ドイツやヒトラーは「敵」「悪」というイメージですが、敗戦後に強いられるドイツ兵の子供達の運命を思うと、非常に考えさせられる作品です。
「戦場のピアニスト」同様に、残酷なシーンもたくさんあるのですが、少年たちと少しずつ心を通わせていく指揮官の変化が見ものです。
作品情報
<原 題> Under sandet
<製作国> フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス
<製作年> 2015年
<上映時間> 1時間40分
<監 督> マーチン・サントフリート
<主なキャスト> ローランド・ムーラー、ミケル・ボー・フォルスゴー
「ジョジョ・ラビット」
愛は最強。
第二次世界大戦下のドイツ。10歳の少年ジョジョは、空想上の友達であるアドルフ・ヒトラーの助けを借りて、立派な兵士になろうと奮闘していた。しかし、心優しい彼は訓練でウサギを殺すことができず、“ジョジョ・ラビット”という不名誉なあだ名をつけられてしまう。そんな中、ジョジョは母親と2人で暮らす家の隠し部屋に、ユダヤ人少女エルサが匿われていることに気づく。やがて、ジョジョは皮肉屋のアドルフの目を気にしながらも、強く勇敢なエルサに惹かれていく――。
出典:ジョジョ・ラビット | 20th Century Studios JP
戦争映画は悲劇的で暗いテイストが多いなか、本作はコミカルで可愛らしい絵本の中のような世界観です。
主役の子役やその親友役の子役も可愛らしく、キッズ映画を観ているような気分になる作品です。
もちろん、戦争中なのでシビアなシーンもなくはないのですが、観終わった後、暗い気持ちにはなりにくいです。
また、監督のタイカ・ワイティティがヒトラー(主人公の空想上の友達)役を務めています。
「縞模様のパジャマの少年」同様、戦争や人種差別を純粋な子供の目線で見る作品となっています。
作品情報
<原 題> Jojo Rabbit
<製作国> アメリカ
<製作年> 2019年
<上映時間> 1時間48分
<監 督> タイカ・ワイティティ
<主なキャスト> ローマン・グリフィン・デイヴィス、スカーレット・ヨハンソン、トーマシン・マッケンジー、タイカ・ワイティティ
<原 作> パトリック・マーバー脚本(本作の脚本も務める)の舞台劇
<主な受賞歴> 第92回アカデミー賞:脚色賞
番外編:その他おすすめ関連作品
「ダンケルク」
生き抜け。
海の町ダンケルクに追い詰められた英仏軍40万人。
若き兵士トミーは絶体絶命の地から脱出できるのか?
フランス北端ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の兵士。背後は海。陸・空からは敵――そんな逃げ場なしの状況でも、生き抜くことを諦めないトミーとその仲間ら、若き兵士たち。
一方、母国イギリスでは海を隔てた対岸の仲間を助けようと、民間船までもが動員された救出作戦が動き出そうとしていた。民間の船長は息子らと共に危険を顧みずダンケルクへと向かう。英空軍のパイロットも、数において形勢不利ながら、出撃。こうして、命をかけた史上最大の救出作戦が始まった。果たしてトミーと仲間たちは生き抜けるのか。勇気ある人々の作戦の行方は!?
出典:映画『ダンケルク』- Warner Bros
第2次世界大戦初期(1940年5〜6月)に行われた連合軍の「ダンケルク撤退作戦」を描いた作品です。
クリストファー・ノーラン監督作品で、ハンス・ジマーの重厚感ある音楽や、臨場感溢れるリアルな演出が緊張感を与えます。
特にトム・ハーディーが演じた英国空軍スピットファイアのパイロットが、英雄的にかっこよかったです。
作品情報
<原 題> Dunkirk
<製作国> イギリス、オランダ、フランス、アメリカ
<製作年> 2017年
<上映時間> 1時間46分
<監 督> クリストファー・ノーラン
<主な受賞歴> 第90回アカデミー賞:編集賞、録音賞、音響編集賞
「Vフォー・ヴェンデッタ」
自由を!永遠に! 世界を占拠する、衝撃の宣戦布告。
戦争映画ではないのですが、舞台設定がヒトラーによる独裁政権をモデルとしているため、統制された国民の生活ぶりや、同性愛者の迫害シーンなど、シビアな描写も含まれています。
ジャンルはアクション、サスペンスです。
「グッバイ、レーニン!」
ベルリンの壁は崩壊した だけど僕は母を守る壁を作ろうとした
あらすじ
80年代末のドイツ。心臓発作で昏睡状態だった母が、ベルリンの壁崩壊後に目覚め、東西ドイツが統一していることを知ればショックを受けると思った息子のアレックスは、必死に社会主義が続いているよう装うのだが…。
こちらも戦争映画ではないですが、国の大きな変革により、国民(庶民)がどのように影響を受けるか描いた作品です。
映画公開後は本国ドイツで大ヒットし、ドイツ歴代興行記録を更新しています。
また第53回ベルリン国際映画祭の最優秀ヨーロッパ映画賞ほか、ドイツ内外の様々な映画賞を受賞ししています。
作品情報
<原 題> Good Bye Lenin!
<製作国> ドイツ
<製作年> 2003年
<ジャンル> コメディ、ヒューマンドラマ
<上映時間> 2時間1分
<監 督> ヴォルフガング・ベッカー
<主なキャスト> ダニエル・ブリュール、カトリーン・ザース
まとめ
戦争映画は痛々しいシーンや暴力的なシーンも多く、観るのに勇気のいる作品も多々ありますが、その分命の尊さ、戦争の愚かさ、当事者にしかわからない苦悩や愛など、色々と感じるものが多いと思います。
残虐なシーンが多い作品でも、年齢制限がないことが意外な気づきでした。
今回は第二次世界大戦時の「ホロコースト」や「ヒトラー」に焦点を当てましたが、ドイツと同盟を組んでいた日本にとっても重要な歴史であり、子供もしっかり真実を知るべきなのかなと思います。
全ての作品が事実に忠実なわけではないですが、歴史から学ぶ大切さを感じられると思います。
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