観た後なかなか眠れなくなるくらい、衝撃を受けた映画でした。
映画としてはとても素晴らしい作品ですが、テーマが重く難しい問題です。
テイラー・シェリダン監督のデビュー作で、脚本も手掛けています。
Overview –概要–
原 題 :Wind River
製作年 :2017年
製作国 :アメリカ
ジャンル:サスペンス、クライム、スリラー
上映時間:1時間47分
監 督 :テイラー・シェリダン
メインキャスト:
コリー – ジェレミー・レナー:ハンター
ジェーン – エリザベス・オルセン:FBI
ベン – グラハム・グリーン:部族警察長
ナタリー – ケルシー・アスビル:被害者の女性
マーティン – ギル・バーミンガム:ナタリーの父
マット – ジョン・バーンサル:ナタリーの恋人
ピート – ジェームズ・ジョーダン:マットの同僚
画像引用元:映画「ウインド・リバー」公式サイト
あらすじ
なぜ、この土地(ウインド・リバー)では少女ばかりが殺されるのかーー
アメリカ中西部・ワイオミング州のネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバー。その深い雪に閉ざされた山岳地帯で、ネイティブアメリカンの少女の死体が見つかった。第一発見者となった野生生物局の白人ハンター、コリー・ランバート(ジェレミー・レナー)は、血を吐いた状態で凍りついたその少女が、自らの娘エミリーの親友であるナタリー(ケルシー・アスビル)だと知って胸を締めつけられる。
コリーは、部族警察長ベン(グラハム・グリーン)とともにFBIの到着を待つが、視界不良の猛吹雪に見舞われ、予定より大幅に遅れてやってきたのは新米の女性捜査官ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)ひとりだけだった。
死体発見現場に案内されたジェーンは、あまりにも不可解な状況に驚く。現場から5キロ圏内には民家がひとつもなく、ナタリーはなぜか薄着で裸足だった。前夜の気温は約マイナス30度。肺が凍って破裂するほどの極限の冷気を吸い込みながら、なぜナタリーは雪原を走って息絶えたのかーー
監察医の検死結果により、生前のナタリーが何者かから暴行を受けていたことが判明する。彼女が犯人からの逃走中に死亡したことは明白で、殺人事件としての立件は十分可能なケースだ。しかし直接的な死因はあくまで肺出血であり、法医学的には他殺と認定できない。そのためルールの壁にぶち当たり、FBIの専門チームを呼ぶことができなくなったジェーンは、経験の乏しい自分一人で捜査を続行することを余儀なくされ、ウインド・リバー特有の地理や事情に精通したコリーに捜査への協力を求める。
コリーとジェーンはナタリーの父親マーティンのもとを訪ね、事件発生の夜にナタリーが恋人に会いに行っていたことを聞き出す。心を病んだ妻とドラッグ中毒の息子を抱えるマーティンは、かけがえのない存在である愛娘の命を奪われて憔悴しきっていた。
捜査を進めるコリーとジェーンは、鬱蒼とした森の中で白人男性の遺体を発見。彼の身元はナタリーの恋人のマット・レイバーン(ジョン・バーンサル)だった。
やがて不自然な言動を連発する警備員たちとジェーンらとの間に一触即発の緊張が走り、両者が一斉に拳銃を抜いて対峙する非常事態が勃発する。はたして事件当夜、この人里離れたトレーラーハウスで何が起こったのか。ウインド・リバーの静寂を切り裂く凄まじい銃声が鳴り響くなか、ついに明らかになる衝撃の真実とは……。
Opinion –個人的な感想–
実話を基にした映画なのか
本作は、ある特定の実話(事件)を映像化したわけではなく、完全な実話とは言いきれないと思います。
しかし、テイラー・シェリダン監督は「ウィンド・リバーで、異常にレイプ事件や女性の行方不明者が多い」という記事を読み、現地でネイティブアメリカンに協力してもらいながら取材を重ねて製作したそうです。
そのため「ウィンド・リバー」という土地の実情を忠実に再現した作品になっているのだと思います。
一番のネタバレは、作品の最後に出てくる一文の衝撃な事実だと思います。
「数ある失踪者の統計にネイティブアメリカンの女性のデータは存在しない。実際の失踪者の人数は不明である」
約9,000km²ある広大なウィンド・リバー地区には、なんと警察官がたった6人だけ。
そのため、事件が起きても正確に捜査がされず、事件解決が困難なのです。
冒頭でも「事実に基づく」とテロップが出るのですが、こんな惨事がどれだけ現実に起こっているのでしょうか。
「無知でいてはいけないな」と思わされる映画でした。
「胸糞映画」とも言われる理由
主犯とそれに便乗する同僚たちは、観ていて「まじで腐ってんな~」と思うくらい、回想シーンは観ていて怒りでワナワナします。
その分、最強のハンター・コリーに狙撃されていくシーンは痛快です。
犯人の哀れな最期も「当然の報いだ!」とは思うのですが、報復を受けさせることができても、冒頭から悲劇であることには変わりないのですよね・・・。
また、被害者のナタリーも、コリーの娘エミリーも、とてつもない美女で「なぜこんな目に・・・」と余計に悲しくなります。
画像引用元:映画「ウインド・リバー」公式サイト
ウインド・リバーという土地の背景理解
この映画を堪能するには、以下2点を理解することが重要です。
1.アメリカにおいてネイティブアメリカンがどのような状況に置かれているか
「インディアン居留地」は独立した国家であり、ネイティブアメリカンはアメリカ市民ではないため、納税義務がない分、国家から治安維持などを受ける権利がない。
2.アメリカの警察制度
アメリカは自治体警察なため、それぞれの州や市を跨ぐと手を出せない(警察だからといって、他の管轄で好き勝手できないということ)。
ジェーン達がトレーラハウスを訪れ、一触即発になるシーンがわかりやすいです。
部族警察のベンと保安官(インディアン居留地の警察)
VS
掘削所の警備員(アメリカの警察)
この対立を唯一制止できる(命令できる)のがFBIのジェーンなんですね。
しかし、そのFBIも殺人事件などの凶悪事件でなければ出動できなかったりするのです。
この背景を知ると、ネイティブアメリカンの人々がいかに危険な立場に置かれているかがわかります。
この映画のように被害を受けやすく、また凶悪犯罪が起きていたとしても闇の中へ葬り去られてしまう。
また序盤で、マーティンとジェーンが対立する場面があります。
ジェーンに悪気はなくとも、マーティンは「白人から偏見を持たれ非難ばかりされる」という経験が多かったため、そのように受け取ってしまうんですね。
マーティンのグレた息子がコリーに「あんたは俺たち(ネイティブアメリカン)とは違う」という発言をしてどつかれるシーンもあります。
このような背景について、池上彰さんが分かりやすく解説してくれている記事もあったので、参考までに載せておきます。
池上彰が生解説! 映画『ウインド・リバー』が描く”アメリカの闇” | カドブン
画像引用元:映画「ウインド・リバー」公式サイト
俳優たちの演技力
苦しみや憎しみ、悲しみを堪える表情など・・・キャストの演技や表現は、ものすごく上手いです。
幸せそうな娘の写真を見せるところや、娘の防寒具を着たジェーンを見て、彼女と重ねてしまうところ。
ナタリーの死を悼んで嗚咽するシーン・・・。
観た人は誰もがもらい泣きすると思います。
欲を言えば、離婚した奥さんには、もう少しコリーに優しく接してもらいたかったかな・・・。
テイラー・シェリダン初監督作品
アメリカの辺境をテーマにした映画「ボーダーライン」「最後の追跡」の脚本で注目された俳優出身のテイラー・シェリダン。
本作はそのフロンティア3部作の最終章と位置づけ、脚本に加えて自ら監督も務めて撮り上げた社会派映画です。
『ウインド・リバー』は、現代アメリカの辺境を探求するひとつのテーマに沿った3部作の最終章です。第1作『ボーダーライン』では、アメリカとメキシコ間の国境で横行している暴力を描き、第2作『最後の追跡』ではテキサス州西部で莫大な富と貧困がぶつかり合う模様を描いています。そのシリーズのカタルシスとなるのが『ウインド・リバー』です。
出典:映画「ウインド・リバー」公式サイト
テイラー・シェリダンは、2017年第70回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品し、監督賞を受賞しています。
「ボーダーライン」も観ましたが、こちらも社会派映画でシビアな映像も多かったですが、面白かったです。
主人公はエミリー・ブラントが演じるFBI捜査官なのですが、本当の主人公はメキシコ人の元検事役であるベニチオ・デル・トロだなと個人的に感じました。
彼が凄腕の暗殺者のようで、原題の「Sicario」はスペイン語で「殺し屋」を意味し、まさに彼のことを言っているのだなと思いました。
シビアな内容や映像に抵抗のない方には、どちらもオススメの作品です。
画像引用元:映画「ウインド・リバー」公式サイト
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アイキャッチ画像引用元:映画「ウインド・リバー」公式サイト
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