映像の全てをPC画面を通して進むストーリー展開が特異な映画作品。
ドキドキハラハラの展開が、飽きることなく続く良質ミステリーです。
Overview –概要–
原 題 ：Searching
製作年 ：2018年
製作国 ：アメリカ
ジャンル：ミステリー、スリラー
上映時間：1時間42分
監 督 ：アニーシュ・チャガンティ
メインキャスト：
デビッド・キム – ジョン・チョー
パメラ・ナム・キム – サラ・ソーン
マーゴット・キム – ミシェル・ラー
ピーター・キム – ジョセフ・リー
ローズマリー・ヴィック – デブラ・メッシング
ロバート・ヴィック – スティーヴン・マイケル・アイク
ランディ・カートフ – リック・サラビア
あらすじ
カルフォルニア郊外に住むデビッドは、愛する妻を病気で亡くし、女子高生の愛娘マーゴットとふたりで暮らしていた。しかしある日、マーゴットは突然姿を消してしまう。行方不明事件として捜査が始まるが、家出なのか誘拐なのかわからないまま37時間が経過。デビッドは手がかりを探すため、娘のPCにログインし、彼女のSNSにアクセスを試みる。そこに映し出されたのは、いつも明るく活発だったマーゴットとはまるで別人の、自分の知らない娘の姿だったーー。
映画『search／サーチ』｜オフィシャルサイト｜ソニー・ピクチャーズ
Opinion –個人的な感想–
画面越しで事件を見守る
本作の最大の特徴は、映像全てが “PC画面である” ことです。
後に紹介しますが、様々な「伏線」が散りばめられており、主人公デビッドと一緒に我々視聴者も、事件の手がかりとなるものを一緒に探しているような感覚はとても面白いです。
MacBookの起動音やSkypeなど、今となってはちょっと懐かしさを感じたりもしますが、斬新な演出でした。
全てを知らなくても、親子の絆は揺るがない
親子であっても、兄弟であっても、特に離れて暮らせば暮らすほど、知らない部分はたくさんあるなと思います。
よくよく考えればそれは当たり前のことですが、愛する息子・娘は「大丈夫」「我が子に限って」という思い込みをしてしまうことも多々あるなと、この作品を観て思いました。
家族であっても他者なので、全てを知ることはできないし、知りすぎる必要もないのかなと思います。
知らない娘の姿が次々と明らかになり、動揺するデビッド。
怪しい奴と関わりがあるのか、何か犯罪に絡んでいるのか・・・
しかし、最後まで娘を信じて、彼女を助けようと努力する姿には親子の深い絆を感じますし、最後無事に娘が見つかって「本当に良かった！」と報われるストーリーです。
事件とは直接関わりはないですが、冒頭で病気で亡くなる母親との描写。
これは父デビッドと娘マーゴットの関係性を表すために極めて重要な情報です。
デビッドは娘を心配しあえて母親の話はしなかったのですが、それが逆にマーゴットにとって辛いものになっていました。
一緒に暮らしていてもすれ違いが生じ、間接的に事件に繋がってしまった「原因」です。
画像引用元：YouTube / SEARCHING – Official Trailer
SNS特有の世界
Facebook、Instagram、Twitter・・・日本ではLINEと、今や生活に欠かせないSNS。
皆んな当たり前に使っているけれど、改めて多くの様々な情報が出回っているのだなと気づかされます。
本作では娘を救出するための有効な手段や手がかりとなりますが、逆に慎重に扱わないと個人情報の流出やプライバシーの侵害など、マイナス面にも大きく影響するなと、ちょっと怖くもなります。
ニュースやSNSの情報で、デビッド親子に同情や協力をしたり、逆に誹謗中傷してきたり。
大して仲良くなかったマーゴットのクラスメートも、注目を浴びようと「大親友だった」などと平気で嘘をついたり。
他人の身勝手な反応もSNSの特徴というか、怖いところでもあるなと思います。
画像引用元：YouTube / SEARCHING – Official Trailer
真実に近づく伏線回収
デビッドは視聴者も見逃してしまうような情報を掴み、事件の真相に近づいていきます。
そんな伏線の数々を、いくつか紹介したいと思います。
湖の画像
マーゴットのSNSの過去の投稿により、彼女は逃亡でもなく誘拐でもなく、「落ち着ける場所」として自分の好きな湖に向かっていただけ、というのが予測できるようになります。
Tシャツの柄
デビッドの弟ピーターが着ているTシャツの柄（ロゴ）と、マーゴットの車から見つかったジャケットのロゴが同じだったことから、ふたりに何かしらの関係があることに気づくデビッド。
結果として、犯人はピーターではなく、ただマーゴットと麻薬をやってしまっただけというオチでした。
画像の女性
マーゴットとチャット仲間であったと思われた女性のプロフィール画像は、ただのフリー素材と判明し、相手が女性ではなく、マーゴットに想いを寄せていたローズ・ウィック刑事の息子であることが後に判明します。
ポケモン
ポケモン好きのマーゴット。
刑事の息子は、実はマーゴットと小学校の同級生で、彼女がポケモン好きであることを知っており、他人に成りすましてSNSでコンタクトを取った際に、ポケモンを話題に仲を深めることに成功するのでした。
事件の担当
ローズ・ウィック刑事は事件の担当を「任命された」と言いますが、終盤で “自ら志願した” ことが明らかとなり、デビッドの彼女に対する疑念が一気に膨らみます。
そこから刑事と、マーゴット殺人犯と見なされた元受刑者のランディ・カートフの繋がりを発見します。
嵐の到来
嵐でマーゴットの捜索が難航してしまいますが、実はこの嵐によって彼女の生存の可能性が生じます。
崖から転落し「水なしで何日も生きられるはずがない」と見なされましたが、嵐の水のおかげで、”まだ2日しか経っていない” と予測され、無事彼女は発見され保護されるのでした。
デビッドがこのことに気づかなければ、手遅れになるところでした。
父の愛が奇跡を起こしたような、そんなシーンに感動しました。
画像引用元：YouTube / SEARCHING – Official Trailer
事件の真相まとめ
- マーゴットに想いを寄せていたローズ・ウィック刑事の息子が、別人に成りすましてSNSでコンタクトをとる。
- 息子の作り話を信じた心優しいマーゴットは、彼（女性と思っていた）の為を思ってお金を送金してしまう。
- 困った息子は、お金を返そうとマーゴットと落ち合うも、揉み合いになり彼女を崖から突き落としてしまう。
- 刑事は息子の罪をもみ消すため捜査の担当者となり、色々と画策していた。
画策1：マーゴットが麻薬犯罪に関わっており国外逃亡しようとしていた、と思わせる
画策2：元受刑者のランディ・カートフをマーゴットの殺人犯に仕立て上げようとした
デビッドと刑事がスカイプでやりとりをしている際に、自分の罪が心配で様子を見に来た息子に「心配ないわ」と返事をする刑事。
真相を知ると恐ろしいシーンです。
デビッドとマーゴットの美しい親子愛と、逆に刑事が息子のために犯罪を犯すというねじ曲がった親子愛も描かれていて、対比すると面白い作品です。
母親のことでわだかまりがあったデビッドとマーゴットですが、それも解消され、最後はハッピーエンド。
とても見応えのある素晴らしい作品でした。
画像引用元：YouTube / SEARCHING – Official Trailer
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