同じ監督、同じ主演女優作品に「死ぬまでにしたい10のこと」があります。
こちらはかなり話題となった人気の作品だと思います。
タイトルもビジュアルデザインも「死ぬまでにしたい10のこと」と関連性を持たせた2作目。
1作目と同様に感動ストーリーなのですが、本作はかなり残酷な内容でした。
Overview –概要–
原 題 :The Secret Life of Words
製作年 :2005年
製作国 :スペイン
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブロマンス
上映時間:1時間55分
監 督 :イザベル・コイシェ
メインキャスト:
ハンナ – サラ・ポーリー
ジョゼフ – ティム・ロビンス
サイモン – ハビエル・カマラ
ヴィクター – エディ・マーサン
シュリッツァー医師 – スティーヴン・マッキントッシュ
マーティン – ダニエル・メイズ
インゲ – ジュリー・クリスティ
ジョゼフの友人の妻 – レオノール・ワトリング
あらすじ
工場で働くハンナは、勤勉だが誰とも関わらず孤独に日々を繰り返していた。ある日、遅刻も欠勤もないことを逆に問題視した上司が、強制的にハンナに休暇を取らせる。休暇中、ひょんなことから海底油田掘削所で大けがをしたジョセフの看護をすることに。無口な彼女に一方的に話しかけるジョセフに、ハンナも次第に心を開いていくが、彼女には想像を絶する秘密があった……。
Story –ネタバレ-
「深海には何もない。あるのは“静寂”と“言葉”だけ――」(少女の声)
イギリスのある街の工場に勤めているハンナは、無遅刻無欠席で真面目に働いていたが、誰も寄せ付けず、孤独なルーティン生活を繰り返していた。ある日上司に呼ばれ、全く休みを取っていないため労働組合から苦情があり、強制的に1か月の休暇をもらうことになる。帰宅したハンナは、定期的に届く手紙を開けずに所定の場所へ重ね、一度使っただけの石鹸を捨て、買い置きの新しいもので手を洗う。食事は毎食ライス・チキン・りんごの3品のみで、刺繍をして時間を潰す。ハンナは手紙の送り主であるカウンセラーのインゲに電話をかけるが、何も喋らずに切る。インゲにはがハンナだとわかっており、生きていることだけは確認できるのだった。しかし旅行に出るとき、ハンナは手紙も持っていくのだった。
港町のレストランで昼食をとっていると、近くの席で男性が電話をしており「急ぎで看護師が必要だ」と会話していた。そこへ「私看護師です」と話しかけるハンナ。海底油田掘削所で事故が起こり、重症を負った男性スタッフを地上に運べるようになるまで看護する必要があり、ハンナは1~2週間海に囲まれた掘削所で過ごすことになる。ジョゼフという患者は腕と脚を骨折していて顔や身体に火傷を負い、角膜も負傷していため2週間は目が見えない状態だった。ハンナは医師からどこの国で働いていたか聞かれるが、「ジョゼフより重症な火傷患者を何人も看てきた」とだけ言う。元々ジョゼフの部屋だった場所を当てがわれたハンナは、彼の携帯の留守電をたびたび聴く。女性の声で、もらった「ポルトガル文」についてや彼を心から愛しているという内容で、壁にはジョゼフと親友とその妻3人の写真が飾ってあった。
ジョゼフが目を覚まし、ハンナが淡々と看護するなか「名前はもしかしてコーラ?声からして金髪だろう。結婚や恋人は?」と質問してくるが、ハンナは一切答えず「コーラでいい。髪は赤毛よ」と嘘をついて食事をもらいにその場を離れるのだった。陽気なコック・サイモンから今日のメニューの説明を受け、ジョゼフに食事を与えていると、好物を聞かれ「チキンとりんごとライス」と答えると「やっと本当のことを教えてくれた。でもそれ以外食べてないみたいに聞こえる」と言われる。ジョゼフが残した食事を運んでいると、誰もいない通路でつい一口食べてみる。あまりの美味しさに、その場に座り込んで泣きながら夢中で食べるハンナだった。
画像引用元:Alchetron
翌日、ジョゼフのガーゼを取り替えていると「何も教えてくれないなら俺も教えない」という彼に、ハンナは耳が悪く補聴器をつけていて、何も聞きたくないときはスイッチを切っている、と打ち明ける。それが生まれつきではないと知ると、過去に何があったのか気になるジョゼフだが、ハンナは「なぜコーラだと思ったのか」と、話を逸らす。ジョゼフが少し前に読んでいた小説について語り出す。盲腸手術をする15歳の少年は、自分の世話をする美しい看護師コーラに想いを寄せていたが、恥ずかしくて素直になれずにいた。しかし少年は感染症で瀕死の状態になり、コーラは話しかけ歌を歌い続けたが効果はなく「私を置いて行かないで、独りにしないで」と言うが、少年は「コーラ」と口に浮かべながら亡くなってしまう。そのときコーラは、少年への愛に気づくのだった。
ハンナは皆と一緒に食事をとるようになるが、従業員たちは料理に文句を言っていた。すると残された食器を取って「本当に美味しいわ」と言いながら黙々と食べるハンナだった。ある日サイモンがジョゼフにケーキを振る舞っていると「ハンナに惚れたな」とからかってくるジョゼフに対して「君は人のものにしか興味がない」と言い返してやると、「出ていけ」と深刻に怒るジョゼフだった。その夜、外の状況を聞きたがらないジョゼフに「じゃああなたの話をして」と言うハンナ。ジョゼフは秘密を話すと言って顔を近づけるように促し、小声で「実は泳げないんだ」と打ち明けると「海で仕事をしているのに」と思わず笑ってしまうハンナ。彼女はだんだんと他の従業員とも自然と触れ合うようになっていた。
ハンナは医師に電話をし、ジョゼフの容態は安定しているが回復もしていないため、すぐに病院へ運ぶべきだと伝え、明後日に移動することになる。そのとき改めて事故の詳細を聴くと、本当は亡くなった男は事故死ではなく、自ら炎の中に飛び込み、それをジョゼフが助けようとしたが間に合わなかったのだ。男には妻と子供がおり、事故死ならば遺族にお金が入るため真実を伏せることにしたのだった。ハンナがジョゼフに「ポルトガル文」について訊くと、彼はある女性にその本を贈ったと言い「人として、してはいけないことをした。親友の妻に意味深な本を贈るべきじゃなかった。彼女に恋をしてはならなかった。そしてそれを親友に告げるべきではなかった…」と続けた。ジョゼフが「過去をどう背負えばいい?」と尋ねると、ハンナは「前に進むしかないわ。皆どうにか未来に向かって生きている。でも、挫折する人もいるわ」と答える。
画像引用元:The Funambulist
ハンナは終に自分の過去をジョゼフに語る。看護学校にいた彼女には、明るく仲良しの親友がおり、二十歳のときに学校が封鎖され、一緒に故郷に帰ることにする。家族とも連絡がつかず戦争の噂もあったが、まさか自分の町が、と信じず車で帰る。町まであと2キロのところで突然車を止められ、ホテルに連れていかれる。そこにはクロアチアの味方の兵や18歳の青年もいた。そこで彼女の人生が一変する。いつも笑って耳元で謝りながらレイプする兵。そこには15人の女性が捕まっていたが、食料が無くなれば殺された。母親に銃を持たせて娘を撃ち「これで孫は持てないな」と言われる。悲鳴をあげた女に「本物の悲鳴を聞かせてやる」と、ナイフで何か所も切りつけ、傷口に塩をすり込み、縫い針で深く縫われる。親友もその一人であり、手当も許されず衰弱していく彼女にハンナは「もう苦しませないで。早く死なせて」と祈るのだった。泣きながら話すハンナはシャツを脱ぎ、無数の傷跡をジョゼフに触れさせる。悲痛な表情を浮かべ涙を流すジョゼフは、彼女を抱きしめ「親友の名前は?」と聞くと彼女は「ハンナよ」と答えるのだった。
翌日、ヘリコプターで輸送される間ハンナはジョゼフの手を握っていたが、陸地について救急車に乗せられるとき、手を放してその場から去ろうとする。ジョゼフが「ハンナー!」と呼び続けるが、彼女は戻らなかった。視力も戻りジョゼフが退院するとき、自分の荷物としてリュックを渡されるが、それはハンナのものだった。親友の妻とベンチで再会し、彼女はもらった本を返す。ハンナのリュックに入っていた手紙をもとに、ジョゼフはインゲに会いに行く。はるばる何の目的で来たのかと問われると、ジョゼフは「ハンナと人生を共にしたい」と言う。しかしインゲは「そんな容易いことではない」と、一本のビデオテープを渡し「これを見ればすべて分かる。戦争や虐殺は時が経てば忘れ去られ、語れるのは生存者のみ。でも彼らは生き残ったことを恥じて生きている」と言う。そしてハンナの写真を探しに行く。
ハンナは元の工場の仕事に戻っていたが昼食のお弁当には、りんごとサイモンのチーズスフレが入っていた。帰宅時、ジョセフが追いかけてきて「やっぱり金髪だった」と言いリュックを返す。「もう用は済んだわね」と帰ろうとするハンナに「一緒にどこかへ移り住みたい」と言うジョセフ。ハンナは「いつか突然泣き出して止まらなくなり、ふたりは溺死してしまうから」と断る。するとジョゼフが「泳ぎを練習するから、きっと泳ぐから」と言って、ふたりはキスをして抱き合うのだった。そして時は経ち、ハンナは可愛らしい台所で水を飲んでいた。
画像引用元:European Film Awards
「私はもういない。日曜だけたまに、彼女の夫とふたりの子供たちがいないときにやってくる。私の弟たち。ハンナがふいに虚無感に襲われるときにだけ。全て夢じゃないかと思うような。でも私はいま遠いところにいる。そしてもう戻らない」(少女の声)
Opinion –個人的な感想・解釈–
秘密が絆を深める
感動は間違いないですが、主人公ハンナの秘密はかなりシビアな内容です。
ハンナが打ち明ける過去の内容は、残酷すぎて涙が止まらないシーンです。
ハンナ役のサラ・ポーリーとジョゼフ役のティム・ロビンスの演技はまさに圧巻です。
目が見えていないという設定のジョゼフの瞳は、眼光が鋭く何ともミステリアス。
ハンナのことを色々と言い当てる感性もすごいです。
そしてジョゼフもまた、親友を自殺に追いやってしまったという現実とともに生きていかなければなりません。
カウンセラーのインゲは「ハンナをひとりにしてあげるべき」と言っていましたが、結果としてふたりで支え合って生きていくことになり、それはすごく素敵なエンディングでした。
生きることに絶望しそうなふたりだったからこそ、生まれた結末かなと思います。
「お互いを支える」という生きる目的ができたのだと思いますし、もしジョゼフが親友を失っていなかったら、ハンナは心を開くこともなかったでしょう。
そして、もしかしたらハンナはわざとリュックを置いていったのでは?とも思いました。
画像引用元:The Mediapro Studio
風景から読み取れる心情
風景からも色々読み取れることがあります。
例えば、ジョゼフの経済力。
彼が帰ってきた家なのかホテルなのかわかりませんが、豪華でハンナのモーテルのような家に比べると全然違います。
ふたりで暮らすようになったキッチンも可愛らしくてオシャレです。
そんなところからも、彼らが幸せになったことが伝わってきます。
その他、曇天の海の風景は、ハンナの心を表しているかのようでした。
ちなみに、ハンナの職場から家までの道中、ジョセフと再会した場所は廃棄場みたいな風景でしたが、あれも「何か意味があるのか?」と考えさせられます。
ハンナの変化
休暇を言い渡され、することがなくてかなり困っていたのでしょうね。
全く人と関わらないハンナが、自ら見知らぬ人に話しかけるとは。
終盤、不愛想なハンナが少しずつ従業員と打ち解けていくのが微笑ましかったです。
サイモンとブランコに乗るシーンは特に。
彼の料理を食べたときから彼女に変化が訪れます。
そして元の生活に戻っても、サイモンの料理だけは影響を与えていたのが素敵でした。
画像引用元:European Film Awards
ハンナの行動の謎
ハンナはなぜ耳が悪くなったのか。
序盤の職場で一瞬音が無くなるシーンがありますが、それはハンナが補聴器のスイッチを切っていたんですね。(スイッチを入れると再び音が流れます。)
原因は、捕虜時代に受けた銃声ではないかと考えられます。
その他、なぜ毎日石鹸を新品に変えるのか
なぜホテルのベッドをめちゃくちゃにしたのか
なぜ何度もジョゼフの留守電を聴くのか
なぜインゲからの手紙を持って行ったのか
(結局本人は読みませんが、ジョセフがハンナに辿り着く手がかりとなりました)
理由は明確に語られませんが、すべては過去の惨事に基づいていると考えられます。
語り手の少女の正体
本作で一番疑問に思うのは、冒頭とエンディングの語り手の少女の声。
いったい誰なのでしょう。
- ハンナ本人
- 捕虜時に殺された娘
- 亡くなったハンナの親友
意見は様々ですが、個人的にしっくりくるのは「2」でした。
これは「私のあとに生まれた弟たち」という台詞で判断しています。
この語り手の台詞はすごく意味深です。
何のことを言っているのか、何のために言っているのかわからない台詞ばかりで、余計に混乱します。
日本語字幕では自分のことのように訳されていましたが、音声は「She(彼女)」と言っていたり。
ハンナが語る過去、悲惨な情景の数々。
親友やその他女性について語っているように聞こえますが、すべてハンナ本人に起きたことではないでしょうか。
彼女の身体に残る深いナイフの傷跡に触れたとき、ジョゼフはそれを感じ取ったのではと思います。
そして親友の名を「ハンナ」と言い、彼女が立ち去るときにジョゼフが「ハンナ」と叫ぶことからも、親友は彼女自身だったと考えられます。
彼女は昔はとても明るい性格だったのかもしれません。
そして娘を殺させられた母親もハンナ自身で、その娘が語り手なのだと推察します。
ただ、「彼女は私を見たことがない」と言っているのがひっかかりますが・・・。
「成長した私を」見たことがない、ということかもしれません。
画像引用元:Listal
今を幸せに生きる
殺されてしまった娘や、もしかしたら本当に存在した親友、その他の女性たちのことを考えると「生き残った私だけが幸せになっていいのか」という罪の意識に苛まれていたと思います。
語り手は、ハンナが絶望感や虚無感に襲われたときにやってくると言っていますが、最後「もう戻らない」と言うのは、彼女が今の幸せを素直に受け入れられるようになった、ということではないでしょうか。
残酷な過去は消えないけれど、それでも今を幸せに生きる。
ものすごく深くて大事なテーマですね。
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アイキャッチ画像引用元:Slant Magazine
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