本記事はバドミントンの『ドロップ』がなかなかうまく打てない人のために、バドミントンのドロップがうまくなる方法を紹介していきます。
「ドロップって何?」といった初心者から、「ドロップ自体は知っているけど、練習方法や試合での活かし方がわからない」といった中級者に足を踏みいれた人にとって非常に役に立つ内容になっていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ドロップとは?
名前の通り、シャトルを相手のコートにドロップ(落下)させるショットです。
打ち方・状況によって相手コートに落とす位置は変わりますが、基本的には相手コートのサービスライン付近より手前に落とすショットです。
ドロップを打つエリアのイメージ
ドロップの打ち方
次はドロップの打ち方についてです。
基本的には「オーバーヘッドストローク」という体の上にあるシャトルを打つときに、よく使うフォームで打つことが多いと思います。
オーバーヘッドストロークの画像と一緒に見ていきましょう。
出典:小椋久美子の基本レッスン
少し具体的に説明すると、
1 シャトルの落下地点の少し後ろ側に移動し、ネットに向かって体を横にしてラケットを構える
2 シャトルに合わせてラケットを振り始める
3 打点は体の前
4 コート手前側に落とすように優しくラケットを振りぬく
「基本的なドロップの打ち方はわかるので、打点や力の入れかたなどのコツが知りたい!」という人は、記事の後半にまとめていますので、そちらを読んでみてください。
ドロップを打つ前に知っておいてほしいこと
ドロップの打ち方がわかったそこのあなた。いきなりドロップを打つのを少しだけ待ってください!
「どうしてドロップを打つんだろう?」という疑問はありませんか?
プロの試合を見るとドロップは、
「相手が一歩も動けずにノータッチで決まるかっこいいショット」に見えますよね。
実はこのイメージが少し間違っていて、正確には
「相手の時間を奪うショット」
です。
これを知っているかどうかで、ドロップの上達に大きな違いが生まれてきます。
でも「プロの試合で相手が一歩も動けずに決まってるドロップもあるじゃん!」と思う方もいると思います。
ドロップが1発で決まるときを例にして、少し具体的に説明していきますね。
相手がロブを打ちます。
↓
自分がシャトルの下に入ってラケットを構えます。
相手にはドロップ、クリア、スマッシュという様々な選択肢が浮かびます。
↓
相手はあなたが打つショットがわからず
先に動くことはできません。
↓
その状況でドロップが打たれたら
相手は反応できずドロップが決まります。
プロはこの一連の流れで、フォームが一緒なことや
それまでのラリーでたくさんの駆け引きがあるので、結果的にドロップ一発で決まることがあるのです。
決してドロップの落ちる場所がいいから決まったのではなく、
相手の時間を奪い切った結果、足を一歩も動かす事ができなくなるのです。
ドロップの質ばかり重視して、相手の時間を奪いきれないと
ドロップ自体は入っているのに、あっさり打ち返されてピンチに陥ります。
最後にもう一度確認です。
ドロップとは「相手の時間を奪うショット」。
これだけをしっかり覚えてもらい、今後はどんなドロップを打てば相手の時間を奪えるのかと考えるようにしてみてください。
ドロップを打つときのコツ(初級者向け)
ドロップを打つときの大事なポイントは大きく3つです。
① 打った後ラケットをしっかり振りぬく
② サービスラインより手前に打たない
③ 基本的に打つのはコートの真ん中
3つのポイントについて、それぞれ具体的に説明していきますね。
打った後ラケットをしっかり振りぬく
バドミントンは打った後にラケットを振りぬくフォロースルー(インパクトのあとのラケットの動き)が
ショットの質にかなり影響し、ドロップも例外ではありません。
では実際には何を意識すればいいのか。初心者の方に意識してほしいのはたった1つです。
それは、、、
「しっかりラケットを振り切る!」
です。
ドロップは優しく打つショットなので、ドロップを習っている人はこう思っている人がいるでしょう。
「ラケットをなるべくゆっくり振ったほうがいいのかな?」
けれども、ゆっくりラケットを振ると
コートまでの距離調整が難しい、
相手にドロップだとバレる、
止めてしまうとそもそもラケットの面が安定しない
といったデメリットが発生します。
ドロップは相手の時間を奪い、ラリーを自分に有利にするための布石とすることがほとんどです。
きれいに手前に落ちるドロップであることに越したことはありませんが、
それよりも相手にばれないことの方が重要です。
次の項目でも説明しますが、有利にするために打つべきコースって意外とたくさんあるんです。
なので多少長くなっても問題ないので、しっかりと振り切ってドロップを打ってみてください。
場所を気にしなくていいなら、ネットにかけたりすることなく気軽に打てる気がしませんか?
振り切ってドロップを打てるようになれば、相手をだますことのできるドロップに一歩近づいているはずです。
サービスラインより手前に打たない
次はドロップをどのぐらいの強さで打つのがいいかを話していきます。
「サービスラインより手前に打たないの?」となっている人が多いと思います。
そりゃそうですよね、試合で他の人が打っているドロップって短い軌道が多いと思います。
慣れてきたら徐々に距離を短くしていくのですが、始めたてのあなたはまず、
サービスラインより奥に打つ!
ことが大事です。
サービスラインより奥だと意外と距離がありますよね?
そこに届かせるためにはしっかりラケットを引いて、構えて打たないといけないと思います。
この「しっかり構える」というのが大事なんです。
ドロップがうまく打てない人の大半が「優しいショットを打たなきゃ!」という思い込みからラケットを全然引いていません。
こうなってはクリアやスマッシュを打つことはできませんよね。
ドロップ自体の質は悪くないけど、なぜか相手に効かない。
実はこれ、もうドロップしかないとばれてしまっていたんですね。
これを克服するための意識としてまず手始めにサービスラインより奥に打つ!
意識して打てるようになれば、ドロップを打つ直前まで他のショットが打てる態勢が自然に保てるように少しづつ変わっていくと思います。
基礎打ちからたくさん打って、上から打つショットのフォームを一緒にしていきましょう!
基本的に真ん中に打つ
ではドロップをどこに打つのかという、すこし実践寄りの話になります。これもとてもシンプルなものです。
真ん中に打つだけです。
シングルス、ダブルスともに最初は真ん中でいいです。
ドロップをミスしてしまうと、相手にすごくラッキーと思われてしまいます。
ここまで記事を読んでくれたあなたはドロップが安定してネットを超えるはずです。
最後にミスするかしないかの壁としてサイドアウトがあります。
せっかくネットを超えているのにサイドに出てしまっては、そもそも相手に触ってもらえません。
まずは相手コートに入れましょう。
それが全てです。
相手コートにシャトルが入るようになって、物足りなくなって来たら
あなたは中級者に足を踏み入れようとしているはずです。
その領域まで来たと思ったら次の初中級者向けのコツを読んでみてください。
まだ自信がないのであれば、ここで説明した3つのコツを徹底的に練習で意識してください。
ドロップを打つときのコツ(初中級者向け)
初級者向けのコツで書いてあることをきちんと意識・実践できている方がこの記事を読んでくださっていると思います。
もう一度確認です。
- ドロップをサイドアウトやネットにかけるミスをすることがなくなった
- スマッシュのフォームとかなり似た形でドロップを打てるようになった
この2点をクリアできていると思う方は、ぜひ次のステップに進んでください!
まだ自信がないという人は、もう一度前の記事を読み返して練習をしてみてください。
初級者用と書いていますが、習得までとても時間のかかる内容なので頑張りましょう!
初中級者向けの内容として以下の項目について説明していこうと思います。
・ドロップの種類について
・攻撃的なドロップの打ち方と使いどころ、注意点
・守備的なドロップの打ち方と使いどころ、注意点
それでは順番にみていきます。
ドロップの種類について
これまでドロップとは相手の時間を奪うショットと説明してきましたが、実際にどんな状況で使うのかを話していきます。
すごく簡単に言うと、、、
相手より少し有利な状況のラリーでさらに有利にするために打つのが攻撃的なドロップ
自分が相手から追い込まれているときに奪われた時間を逆に奪い返すことでラリーを互角以上に引き戻すために打つのが守備的なドロップです。
詳しく説明していきますね。
攻撃的なドロップの使いどころ
攻撃的なドロップは自分が相手より有利な時にさらに相手を追い込むときに使います。
例えば、ダブルスで自分側がスマッシュを連続で打っていて、あともう少しで相手を崩せそうといった時です。
「相手より少し有利だけど決めきれない」
「けど、無理やりスマッシュを打ってカウンターを食らうのは嫌だ!」
そんなときに相手のロブを甘くさせる or 体制を崩すために打つのが攻撃的なドロップです。
上にあげたのは一例で他にも攻撃的なドロップを打つときはたくさんあります。
一つ一つ説明するのは難しいので判断基準の一つとして、自分が上から打っていて、相手が下から打っているかどうかがあります。
絶対ではありませんが、当てはまる状況は多いはずです。
攻撃的なドロップの打ち方・注意点
打ち方について考えることはシンプルです。
なるべく体の前でシャトルをとらえて振り切る
体の前を意識して打てば、ノータッチとまでいかずとも相手の時間を奪うことは可能なはずです。
注意点としては
落とす場所を意識してシャトルのスピードを押さえないでください。
ゆっくりのシャトルを打ってしまうと
相手が余裕をもって返すことができてしまいせっかくのショットが無駄になってしまいます。
守備的なドロップの使いどころ
相手の時間を奪うことが可能ならば、
自分が相手に時間を奪われつつある状況で、
逆に時間を奪い返すことができるはずです。
例えば
相手がガンガン攻めていてこちらに余裕がないとき
クリアを上げると相手にスマッシュを打たれるから嫌だけど、ラリーの流れを引き戻したい。
そんな時に打つのが守備的なドロップです。
打つタイミングは
すごく攻められていて一息つきたい
と思うときがかなり当てはまるのではないでしょうか。
もちろんその状況に真っ向から向き合う必要性があるときもあるのでケースバイケースですが、判断基準の一つとしては問題ないと思います。
守備的なドロップの打ち方・注意点
守備的なドロップはこれまでのドロップと打ち方が少し異なります。
シャトルの下に入って構えるところまでは一緒なのですが、
シャトルを打つ一瞬だけラケットを止めるイメージで打ってください。
この打ち方をするとシャトルの軌道が山なりになって相手コートに届くまでの時間が大幅にかかります。
この時間を使ってしっかりと自分の思うポジションに戻って構えてください。
攻撃的なドロップと違って注意点がたくさんあります。
シャトルを落とす位置をなるべくネットに寄せる
これまでのドロップで話してきた内容と変わってしまいますが、
山なりの軌道を描く都合上、シャトルの軌道が伸びすぎると簡単にプッシュを打たれてしまいます。
なのでこのショットは基礎打ちなどできちんと練習してから実戦で使用してください。
ラケットを止めることを意識しすぎてフォームを崩さない
これまでと違った打ち方をするのでスマッシュのフォームと大きく変わってしまうことがあります。
そうなると違ったフォームを見せた瞬間に相手にネット前に詰められて
最悪そこでラリーが終わってしまいます。
打つ瞬間までは同じフォームを徹底してください。
相手の場所をきちんと確認する
自分に時間を与えてくれる守備的なドロップですが、もちろん相手にも時間はあります。
相手が前に詰めている状況でこのショットを打ってしまうと
相手からするとただのラッキーショットになります。
相手がネット前に詰めようとはしてないことをしっかり確認したうえで打ちましょう。
攻撃的ドロップと守備的ドロップの2つについて説明しましたが、
この二つのショットは難易度が全然違います。
難易度の違いとしては攻撃的ドロップを10とすると、守備的ドロップは50くらい難しいです笑
先に攻撃的なドロップを習得してから守備的ドロップの習得をすることをお勧めします。
ドロップの練習方法
ここではおすすめの練習方法を説明していきます。
難易度順にあげていきますので、ぜひ上から試していってください。
難易度1:基礎打ち
言わずと知れた基本を練習するための練習方法。
ですが、実はこの基礎打ちにも意識してほしい点はたくさんありますので説明していきます。
動きをいれる
基礎打ちを見ていると、
打っている場所から動かずに打っている人をよくみかけます。
最初期ならばこれでもいいのですが、
少しずつ実践に近づける方法として
打った後に2、3歩でいいので前に出てください。
前に出れば戻るときにフットワークを使いますし、打った後の動きの練習にもなります。
慣れてきたらホームポジションまで戻ってみてください。
たかが基礎打ちかもしれませんが、これをやっていればかなり実践寄りの内容に早変わりです。
打ち返すコースを意識する
基礎打ちは半面で行うことが多いと思います。
半面の中でも、半面の端っこと真ん中に打ち分ける意識をもって打ってみてください。
おそらく意外なほどに思った場所にシャトルを打つことは難しいです。
基礎打ちならばミスをしても点数に響きませんから、ここでコントロールを少しづつ磨いていきましょう。
難易度2:V字ノック
コートのホームポジションあたりに目印となるものをおいてください。
(イス、シャトルケース等で小さすぎなければなんでもOKです)
ノックを受ける人は目印の前に立ち、ノッカーはフォア奥とバック奥に交互にロブを出します。
20球×3セットくらいが目安です
ロブを出すタイミングは、
ノックを受ける人がホームポジションに戻ってくるタイミングに次の球を打ってください。
早すぎると追いつくのに必死になってしまいフォームが崩れてしまうのでタイミングがとても大事です!
最初は打つ場所を真ん中にしましょう。
3セット全部ミスをしないようになったら、次は打つ場所を左右に移動させましょう。
打つ場所に関係なくミスが出ないことを目指しましょう。
だいぶ慣れてきたなら、
フォア、バック交互に出してもらうのではなくランダムに出してもらったり、
ロブの高さを調整してもらう
などを取り入れるとより実践的な内容になっていきますよ。
難易度3:ドロップ&ネット
ここからはパターン練習なので
生きた球が返ってくる中でドロップをどう打つのかを練習していきます。
具体的にはニューシャトルかセミシャトルを準備してもらい
相手コート:サーブを打つ(人数は1~2人)
自分コート:相手コートの好きな位置にドロップを打つ
相手コート:ドロップに対してヘアピンを返す
自分コート:ヘアピンを返す
相手コート:ロブをコートの好きな位置に返す。
そしてまた最初に戻ります
このように自分側はドロップとヘアピンをひたすら繰り返す練習になります。
返す場所を限定したり、ヘアピンを長めにしてもらうなど
工夫して自分に一番ちょうどいい強度の練習にしてください。
ちなみに全面でやる必要性はなく、基礎打ちのように半面でやることもできます。
以上が普段の練習から取り組みやすいと私が考えるドロップの練習方法でした。
基礎打ちでフォームをきちんと固めながらドロップに慣れてもらい
ノックで少しずつ動きを入れてドロップを打てるようになってもらう
パターン練習でより実践的な中でドロップを打てるようになってもらえたらと思います。
番外編 カット
これまでの内容ではドロップの打ち方、考え、練習方法について話してきました。
中級者以上がいる場所でバドミントンをしてる人ならば思っていることがあると思います。
それは
「カットってどういう立ち位置のショット?」
だと思います。
ドロップのように前に落ちるショットですが、
ラケットのスイングの速さや打つときの音が違ったりして疑問が多いと思います。
そもそもカットについてですが、基本的な構え、打ち方はドロップと変わりません。
では何が違うのかというと、打つ瞬間のラケットの面です。
ドロップは
打ちたい方向に対してまっすぐラケットの面を向けて、打つショット
カットは
打つ瞬間にラケットの面を斜めにして、
名前の通りシャトルを切るようにして打つショットです。
イメージとしてはシャトルのコルク部分を切るようなイメージです。
切り方のイメージや感覚は人それぞれなので私の感覚が皆さんに合うかどうかはわかりません。
ですが、一応私の感覚を共有しておきます。
シャトルを切る感覚はまっすぐではなく、少しコルクをなぞるように切るイメージです。
手前にシャトルを落としたいときは切る時間を短く
少し長めにしたいときは切る時間を長く
ざっくりのイメージですがこんな感じです。
さらにフォアカット、リバースカットについても軽く紹介していきます。
切る向きでシャトルの方向を決めることができます。
シャトルにラケットが触れる瞬間に
手首を内側に返すように切るとフォアカット、
手首を外側に返すように切るとリバースカットになります。
カットを打つときは打つ直前まではドロップと同じラケットの面を意識してください。
そうすれば相手はシャトルの向きを判断できず相手の時間を奪うことができます。
カットに関しては自分の感覚を培うためにひたすら数を打って、自分に最適な感覚を身につけてください。
1点気をつけてほしいのは、カットを打つことを意識しすぎる事で構えの部分が崩れないようにしてください。
カットで手首を返す都合上、構えるときに手首を返してしまう人が多いですが
そうすると構えの時点で相手に違和感を与えてしまい、打つショットがバレることにつながってしまいます。
バドミントン全体を通して、構えを統一するのは非常に難しいので頑張っていきましょう。
まとめ
この記事ではドロップを安定して打てるコツや
その安定したドロップをどこに打つのか
またそのドロップの練習方法などドロップにまつわる基礎を詰め込んでみました。
初級者は何はともあれショットを相手コートに入れることが最優先です。
この考え方は他のショットにも言えます。この考え方の流れに慣れていけば次に別の問題に直面したときにも、何から考えればいいのかに迷うことはなくなると思います。
以上がドロップの打ち方のコツの紹介でした。
この記事を読んでドロップが上達して、楽しいバドミントンライフを過ごしていただければと思います!
アイキャッチ画像参照元:THE ANSWER スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト
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