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    更新日: 2022.02.22

 

スコッチウイスキーとは?種類や特徴、歴史、生産地、銘柄などを元バーテンダーの私が紹介!

世界には5大ウイスキーというものがありますが、本記事ではスコッチウイスキーの種類や歴史、生産地、銘柄など、普通の人からしたらちょっとマニアックかもしれない部分について、紹介していきます。

5大ウイスキーについての基礎を知りたい人は以下も参照してみてください。

スコッチウイスキーの定義

まずは、スコッチウイスキーの定義を解説したいと思います。
以下の定義を満たしたものが、スコッチウイスキーと呼ばれます。

・水とイースト菌と大麦の麦芽のみを原料とする。(麦芽以外の穀物の使用も可)
・スコットランドの蒸留所で糖化、発酵、蒸留を行う。
・スコットランドの蒸留所で糖化、発酵、蒸留を行う。
・アルコール度数94.8%以下で蒸留
・容量700L以下のオーク樽に詰める
・スコットランド国内の保税倉庫で3年以上熟成させる
・水と(色調整のための)スピリッツカラメル以外の添加は認めない
・最低瓶詰めアルコール度数は40%

意外と定義がきっちり決まっていることに驚く人はいるかもしれません。

スコッチウイスキーの歴史

ウイスキーは500年以上も歴史があると言われていますが、実は記録や文献が乏しく、正確な起源は未だ明らかにされていません。
一説によると錬金術師が生み出したとも言われていますし、蒸留器がいつ伝わってきたのかも不明です。
そもそもウイスキーは、もともとは透明な色をした飲みもので、「アクアヴィテ(生命の水)」と言われていました。
「アクアヴィテ」はゲール語で「ウシュクベーハ」と呼ばれ、その発音がなまってウイスキーと呼ばれるようになったと言われています。

そんなウイスキー造りに対して、スコットランドは18~19世紀初頭に高額な酒税を課すようになり、当時の造り手は高額な税金から逃れるためにウイスキーの密造をはじめました。
その時に製造したウイスキーは、シェリー酒を熟成した木樽に入れて隠されていましたが、しばらく経ってその樽を開けてみると、
透明だったウイスキーが琥珀色に変化し、味もとてもまろやかに変化していたことが分かりました。
それからウイスキーを樽熟成するという文化が誕生し、ウイスキーの色は私たちが知っている琥珀色に変化したのです。

しかし、1823年に酒税法が改訂されたことがキッカケで密造時代は幕をおろし、1824年にグレンリベット蒸留所が政府公認第1号の蒸留所に認定されたことを皮きりに、スコットランドの数々の蒸留所が政府に公認されていきました。

1831年にブレンデッドウイスキーが誕生したこともスコッチウイスキーの歴史を語るうえで欠かせません。
この年に、連続式蒸留器が開発されたことにより、個性的なモルトウイスキーと口当たりがまろやかなグレーンウイスキーをブレンドすることが可能になり、ブレンデッドウイスキーが誕生します。
これまでのモルトウイスキーは1樽ごとに味や風味が異なることが問題視されていましたが、これがグレーンウイスキーとブレンドすることで、味がまろやかになり、味も均一化することに成功しました。

1960年代にグレンフィディックがシングルモルトウイスキーを打ち出すまで、スコッチウイスキー=ブレンデッドウイスキーという印象がスコットランド中に浸透し、ブレンデッドウイスキーは現代にいたるまで更なる進化を遂げてきました。
ブレンデッドウイスキーの誕生はスコッチウイスキーを世界中に認知させる大きなキッカケとなったのです。

また、スコッチウイスキーが世界で飲まれるようになったもう1つのキッカケとして、19世紀後半にブドウの病気であるフィロキセラが流行したことも上げられています。
フィロキセラの流行は、フランスのブドウ畑に壊滅的なダメージを与え、これによりワインやブランデーの供給が激減します。
このとき
に日の目を浴びて飲まれるようになったのがスコッチウイスキーでした。
こうしたことがキッカケで、スコッチウイスキーは瞬く間にヨーロッパ中に知れ渡り、現代のように日常的に飲まれるようになっていったのです。

スコッチウイスキーの造り方

ここでは、スコッチウイスキーがどのようにして造られるのかを、順を追ってカンタンに説明していきます。

① 製麦/モルティング

原料である大麦を2~3日間水に浸し、発芽させます。
これにより種子に含まれるデンプンが、ブドウ糖、麦芽糖などの糖に変化します。
(このときに使用される水が仕込み水と言われます。)
ただ、このまま発芽を促進させると逆に糖分が失われてしまうので、この後に種子を乾燥させ、発芽の進行を止めます。

② 糖化/マッシング

発芽した麦を粉々に砕き、そこに67~70℃の熱湯を入れて攪拌し、発酵に必要な糖液を抽出します。
(このときに使われるのも仕込み水です。)
こうして得られる糖液をワートと言います。

③ 発酵/ファーメンテーション

糖液を熱交換器を使って20℃前後に冷却し、そこにイースト菌を加えて発酵を行います。
このときに糖はアルコールと炭酸ガスに分解されます。
発酵は2~4日程度で完了し、アルコール度数7~9%の発酵液(モロミ)が出来あがります。

④ 蒸留/ディスティレーション

ポットスチルと呼ばれる銅製の単式蒸留器を使って蒸留します。
蒸留とは、アルコールと水の沸点の違いを利用して、アルコールと水を分離させることです。
このときに使用されるポットスチルは蒸留所ごとに形や大きさが異なり、これによってウイスキーの個性を出すことができます。
これを2~3回繰り返して、アルコール度数を上げていきます。

⑤ 熟成/マチュレーション

蒸留が終わったお酒を樽に詰めて寝かせる事を熟成と呼びます。
スコッチウイスキーは最低でも3年間の熟成が義務づけられていて、この熟成前の無色透明のウイスキーをニュースピリッツと言います。
熟成するときは、樽材成分をウイスキーに染み込みやすいようにするために、ニュースピリッツに水を加えて、度数を70~72%程度から63%前後に落として熟成を始めます。
スコッチウイスキーの熟成に使われる樽は、オークと呼ばれる広葉樹から作られるオーク樽が使われます。
オーク樽以外にもポート樽やワイン樽など、さまざまな樽があるため、熟成する樽によってウイスキーの味はまるで変わってきます。
ここがウイスキーの面白いところでもあります。

⑥ 瓶詰め/ボトリング

熟成が完了した樽は、この後、他の複数の樽と一緒にブレンドされ、味を均一化していきます。
これは、熟成に使った樽によってそれぞれ味が異なるからです。
また、ここから更に加水し、アルコール度数を40~46%に落とした状態で瓶詰めされます。
こうして、私たちがいつも飲むウイスキーが完成するのです。




スコッチウイスキーの生産地と銘柄

出典:CLASSIC MALTS SELECTION

スコッチウイスキーの中でも特に有名な銘柄を地方ごとに紹介していきます。
生産地は主に6つに分けられます。
その中でも有名な生産地は「スペイサイド」「アイラ」と言われています。

① ハイランド/「グレンモーレンジィ」「ダルモア」「アバフェルディ」

スコットランドは大きく分けると、東のダンディーと西のグリーノックという村を結んだ線を境にハイランドとローランドの2つに分けられます。
現在のハイランドには沢山の蒸留所が存在しており、世界中で飲まれている「グレンモーレンジィ」、「ダルモア」、「アバフェルディ」もハイランドに位置する蒸留所から作られています。

グレンモーレンジィ

ダルモア

アバフェルディ

② スペイサイド/「グレンリヴェット」「グレンフィデック」「マッカラン」

スペイサイドは、ハイランド地方の北東部に位置するスペイ川周辺の地域を指します。
モルトウイスキー蒸留所の半数近い50もの蒸留所が存在しており、もともとはハイランドの一部とされていましたが、今はハイランドと区別されることのほうが多くなりました。
スペイサイドのウイスキーはアイラモルトと対局にあるくらい華やかで飲みやすいとされていて、代表的なウイスキーには「グレンリヴェット」、「グレンフィデック」、そしてウイスキー界のロールスロイスと称される「マッカラン」があります。

グレンリヴェット

グレンフィデック

マッカラン

③ アイラ島/「ラフロイグ」「ボウモア」「ラガブーリン」

アイラ島スコットランド周辺の島の1つで、スペイサイドと並ぶスコッチウイスキーの名産地です。
しかし、スペイサイドと反して、アイラのウイスキーはとても個性が強く、他のスコッチウイスキーに比べてピート香が強いことが特徴です。
これは、アイラ島の土壌にピート香の原因となるピート(泥炭)が沢山含まれていることに由来します。
アイラ島のウイスキーは全て有名ですが、中でも特に有名なものが、「ラフロイグ」、「ボウモア」、「ラガブーリン」です。

ラフロイグ

ボウモア

ラガブーリン

④ アイランズ/「ハイランドパーク」「スキャパ」「タリスカー」「アイル・オブ・ジュラ」

スコットランドの西側に連なる島を「ヘブリディーズ諸島」と言いますが、アイランズとはアイラ島を抜いたそれ以外の6つの島のことを指します。
有名なウイスキーは、オークニー諸島の「ハイランドパーク」、「スキャパ」、スカイ島の「タリスカー」、ジュラ島の「アイル・オブ・ジュラ」です。

ハイランドパーク

スキャパ

タリスカー

アイル・オブ・ジュラ

⑤ ローランド

ローランドは、スコットランドの南に位置する区域で、かつてハイランドのシングルモルト業者と激しい競争を繰り広げていました。
しかし、その競争に敗北したローランドには、現在はグレーンウイスキーの蒸留所が多数存在しています。
シングルモルトウイスキー蒸留所は「オーヘントッシャン」、「グレンキンチー」、「ブラッドノック」の3つまで減少してしまいましたが、ローランドのお陰でウイスキーのブレンデッド時代が到来したといっても過言ではありません。
有名なウイスキーは、「オーヘントッシャン」、「グレンキンチー」です。

オーヘントッシャン

グレンキンチー

⑥ キャンベルタウン/「スプリングバンク」「ロングロウ」「ヘーゼルバーン」

キャンベルタウンは、アーガイル地方のキンタイア半島の先端の町で人口5000人程度の小さな町です。
昔は30を超える蒸留所が存在しましたが、第二次世界大戦後には、「スプリングバンク」「グレンスコシア」の2つまで衰退しました。
スプリングバンクは180年以上に渡り同じ一族が経営していて、「スプリングバンク」「ロングロウ」「ヘーゼルバーン」を生産しています。

スプリングバンク

ロングロウ

ヘーゼルバーン

おわりに

いかがでしたでしょうか。
今回はスコッチウイスキーの概要を紹介しましたが、スコッチウイスキーの世界はまだまだ奥が深く、発展途上のウイスキーでもあります。
記事を読んで、少しでもスコッチを飲んでみたいと思った方は、ぜひバーの扉を叩いてみてくださいね。

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